「テニスコート」の曲と聞いて、一体どんな内容の曲だと想像しますか?
なぜ「テニス」という行為ではなく、「テニスコート」という場所にフォーカスしているのでしょうか?
どうやらロードにとって「テニスコート」は特別な場所のようです。
「テニスコート」が何を意味するのかの解説と歌詞に出てくる英語表現を紹介します。
歌詞の意味
- [キーワード] 名声、葛藤、ピュアな10代、故郷、
- ロードは「この曲は、故郷の友人や日常生活からインスピレーションを得た曲で、音楽のキャリアをスタートさせたことで起きた数カ月の生活の変化を反映したもの」だと語っている。
[Verse 1] 名声とピュアヒロイン
人の話ってつまらないと思わない?
また偉そうなこと言ってる もううんざり
私がこれをやってるのは
ワクワクしたいから 最高を味わいたいから
たくさんある欲望を
決して追い求めないわけじゃない
だって私はこの瞬間と同じくらい
まだ若くて向こう見ず
購入したちょっとしたキラキラしたもので
気分が上がる
でもそれに支配されることは決してない
“人の話は退屈ではないか?”という投げかけから始まります。
“人の話”とは、ロードにとって「うわさ話」に言い換えられるかもしれません。
音楽活動をスタート後、すぐに「Royals」がヒットし、名声を獲得したロード。
その代償として、世間の人から、大人から、偉そうに自身のことを語られる。
“ピュア・ヒロイン”の名のとおり、ロードはただ純粋に音楽をやりたいだけなのでしょう。
なにせ欲望やキラキラしたものに浮かれたい10代ですもの。
しかし、地に足の着いたロードは、物質的なものや名声に支配されることはない、と歌います。
[Chorus] 役割を演じる
ベイビー クラスのお調子者になって
私は美人コンテストで涙をたたえて優勝する
新しい芸術スタイルはこれ
私たちはあんまり気にしてないって
世間に示すことよ
私たちはこれでいいの
恐怖を感じて笑うしかないときだって
テニスコートに行って 本音を語ろう
「お調子者」と「涙を流す美人コンテストの優勝者」が出てきます。
その共通点は何でしょうか?
お調子者とはいい加減に調子を合わせる人のことですよね。
美人コンテストとは基本的に外見の美しさを競うコンテストのことです。
そこで優勝して涙を流す行為は、お決まりの型にはまったパターンですよね。
共通点はどちらもうわべだけということです。
「周りがお調子者なら、それに相対するように自分もうわべの人間を演じるから」というロードの意思がうかがえました。
恐怖を感じるときでも、笑顔でやり過ごさなくてはならないときって、ロードに限らず全ての人に当てはまる瞬間があると思います。
ロードは名声の対処法として、毅然とした態度で役割を演じることにしたのかもしれません。
[Verse 2] 名声と友情
近いうちに 私は初めて飛行機に乗るの
上空なら町の道路網が静脈に見えるのかな
でも私の頭は高速で
「wicked games」や「up in flames」のことでいっぱいになる
有名になってもまた楽しく遊べるのかな?
男友だちとまたふざけ合えるかな
みんなが全員 王位継承候補なら
すべてうまくいく
でもそれは永遠には続かない
この歌詞パートは、故郷を離れることに対する不安が描かれていると思われます。
名声を得ても、地元の男友だちがこれまで通り接して遊んでくれるか。
みんながみんな、王位継承候補者のように名声があればいいのに。
有名になったことで、名声の扱い方や友だちの接し方に不安を抱えている様子が伝わってきます。
※「wicked game」と「up in flames」については、考察パートで後述します。
[Bridge] 名声は道半ば
写真写りは問題なさそう
捕まるのは旅の半分に過ぎないよね?
精神的に参るときでも 全身全霊
あなたの窓から見えるはず
あなたの窓から見えるはず
名声は得てからが難しい、ということをこのブリッジからも感じ取れます。
私たちはテレビ、パソコン、スマホ、タブレットという「窓」を通して、有名人の情報を随時チェックすることができます。
有名になった自分の写真や精神的に参っている様が撮られ、ロード自身も「窓」を通して観ている様子が浮かび上がってきます。
【考察】テニスコートは何の隠喩?
テニスコートは故郷を意味しているとロードは言います。
地元の友だちと気楽に話せて、自分を着飾る必要のない場所。
辛くなったら帰りたいと思える場所のことです。
上京して地元から離れて暮らしている人にとっては共感できる歌詞だと思います。
ロードにとってはテニスコートでしたが、私にとっては地元に帰れば必ず友だちと行くカラオケボックスです。
あなたにとってのテニスコートはどこですか?
【考察】あのアーティストの、あの曲名が入っている?
歌詞には、2人のアーティストの曲名が入っています。
それは、「wicked games」と「up in the flames」。
「wicked games」はロードの好きなザ・ウィークエンドのデビューシングルの曲名。ドラッグやセックスや悪ふざけについて書かれている曲です。
一方の「up in the flames」はニッキー・ミナージュの曲名。キャリアの成功について書かれています。
地元の友だちとふざけ合って過ごすことと、音楽業界で成功することは対極にあります。
その対極にある曲として、2つの曲を歌詞に入れ込んだのではないかと思います。
テニスボールのようにロードの感情が行ったり来たりと揺らいでいる状況がうかがえます。
この曲はこんな人にオススメ
孤独を感じている人に聴いてもらいたい1曲です。
ロードはこの曲を書くにあたって、写真家グレゴリー・クレウドソンの作品から影響を受けたと言っています。
彼の作品は孤独やヒューマンライフについての作品が多いので、彼の作品を画像検索してから曲を聴いてみるのもオススメです。
まとめ
有名になっていくことで起きる心の葛藤と、望郷の念について書かれた「Tennis Court」。
うわべを取り繕う場所と、素直に本音を言える場所。
社会に出ると、その場その場を取り繕う機会が増えてきますが、年齢を重ねても、本音で語り合える場所を1つでも確保しておきたいものです。
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