ブリット・アワード(Brit Awards/BRITs)とは?

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BRITs #Music Industry
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「あなたの好きなイギリスの歌手を教えてください」

ビートルズ?クイーン?デヴィッド・ボウイ?オアシス?ブラー?コールドプレイ?アークティック・モンキーズ?エド・シーラン?ハリー・スタイルズ?The 1975?アデル?リトル・シムズ?ウェット・レッグ?……挙げ始めたらこのままアーティスト名で記事が埋まりそうなので、この辺で。

一年に一度、名だたる英国アーティストが一堂に会するイギリス最大級の祭典があります。

それが、「ブリット・アワード(BRIT Awards/BRITs)」。

43回目を迎える今年は2023年2月12日(日)午前5:00(日本時間)に開催されました。
(イギリス時間GMTでは2月11日(土)の午後8:00~)
※2023年の受賞者は記事中盤の【部門説明】でご紹介しています。

※余談ですが、この祭典の日本語表記には2パターンあります。
1つは「ブリット・アワード」、もう1つが「ブリット・アウォーズ」です。

表記はメディアによって揺れています。
どちらか1つに統一してもらいたい心の声はさておいて、当サイトでは「ブリット・アワード」で統一して話を進めます。

来たるべき授賞式に備えて、この記事で「ブリット・アワード」の基本を予習しておきましょう。

ブリット・アワード(Brit Awards)とは?

ブリット・アワードとは、英国レコード産業協会(BPI)が主催する、英国最大級の音楽の祭典のことです。2012年からは毎年、ロンドンのO2アリーナで開催されています。

この祭典のスポンサーは?

このアワードを全面的にバックアップしているのが、マスターカードです。

あなたの財布に入っているかもしれない、赤とオレンジの円が重なっているロゴでお馴染みのあのマスターカードです。

このマスターカードの象徴といえる「赤とオレンジの円」は、ブリット・アワードのロゴにも入っています
ちょっとロゴの主張が強すぎるんじゃないかと思うくらい、他の音楽の祭典に比べてスポンサーのロゴが目立ちます。

それも、そのはず。

この祭典の正式名称は『ブリット・アワード・ウィズ・マスターカード(The BRIT Awards with Mastercard)』と呼ばれています。
それほど、マスターカードに支えられている祭典です。

ちなみにマスターカードは、イギリスではなくアメリカの会社です。本拠地もアメリカです。

始まりはいつ?

記念すべき第1回目は1977年。ビートルズやクイーンが受賞していた時代です。
その後、5年のブランクを経て1982年以降は毎年開催されています。

2023年は、43回目を迎えます。

選考方法や投票方法は?

アワードの候補者と受賞者の選考は、約1,000人の音楽業界人が行います
業界人には、レコードレーベル、出版社、マネージャー、エージェント、メディア、および過去の受賞者と候補者が含まれます。

ただ、すべての部門を業界人が決定するかと言えば、そうではありません。
後述しますが、2022年から新設された4部門についてはTikTokでの一般投票が可能です。

日本で視聴するには?

授賞式はITV(イギリスの民間放送局)で生放送されるほか、YouTubeで生配信が行われる予定です!ITVを観れない日本在住者にとっては、朗報ですね。

当日は公式のYoutubeチャンネル『BRITs』を開いて、スタンバイしましょう。
公式チャンネルでは、すでに授賞式に向けたショート動画が挙げられているので要チェックです

放送時間はおよそ100分ほどを予定しています。
日本で鑑賞予定の方は、AM5:00~7:00の時間帯で鑑賞できるかと思います。

変わりゆくブリット・アワード

歴史あるブリット・アワードでは、記憶に残る数々のエピソードがあります。

たとえば、1996年はマイケル・ジャクソンのパフォーマンス中にジャーヴィス・コッカーが乱入して警察沙汰になりました。
2012年は、アデルのスピーチが強制中断されてしまい、彼女が中指を立てて怒りを露にする場面もありました。

一視聴者として観ていてヒヤリとする出来事がこれまでに何度となく起きていますが、この記事では喜ばしいイベントに焦点を当てたいと思います。
具体的に「多様性」に注目して、ブリット・アワードに起きた直近の大きな出来事をご紹介します。

2021年: 日本出身リナ・サワヤマが祭典のルールを変更

1990年新潟生まれのリナ・サワヤマは、父親の転勤で4歳にロンドンに移住し、以来ロンドンで生活し音楽活動をしているシンガーソングライターです。

2020年にリリースされた1stアルバム『SAWAYAMA』は業界人から高い評価を得ました。

しかし、彼女の国籍が英国ではないとの理由で「ブリット・アワード」にも「マーキュリー賞(英国もしくはアイルランドのアーティストを対象者にして贈られるベストアルバム賞のこと)」にもノミネートされませんでした。

リナはイギリス在住歴が長いものの、国籍は日本です。そして日本は二重国籍が認められていません。
とはいえ、受賞資格を得るために国籍を変えることは、したくなかったそうです。
自分のルーツである、日本を消すことになるからです。

そこで、彼女は「ブリット・アワード」と「マーキュリー賞」を運営する英国レコード産業協会にルール変更を求めました。

協議の結果、なんと受賞資格の要件が変更されたのです!
イギリス国籍でなくとも5年以上イギリスに居住していれば、受賞資格を得ることができるようになったのです。

この変更により、彼女は2021年のライジング・スター賞にノミネートされました。
受賞こそ逃したものの(その時の受賞者はGriff)、彼女の行動力は一つの大きな壁を壊したのです。

今後は、リナのように英国籍を取得していないけどイギリスに長期在住しているアーティストがますます注目され、ノミネートされることを期待します。

2022年: 性別の区分を撤廃

2022年から性別によって二分化されていた部門(British Male Solo Artist、British Female Solo Artistなど)が撤廃されました。

これは、すべてのセクシャルマイノリティ(LGBTQ+)に配慮してとのことです。

音楽業界で最も権威がある賞とされるアメリカの祭典グラミー賞では、2012年に先立って男女別だった一部の賞を統合しています。

音楽の祭典ではありませんが、ベルリン国際映画祭も2021年の映画祭から男優賞、女優賞が撤廃され、性的区別のない主演俳優賞、助演俳優賞が新設されました。

この風潮は今後も勢いを増していくと思います。

まだ性別を男女に二分しているアワードは、今後ますます風当りが強くなってくるのではないかと思います。
映画の祭典アカデミー賞も、~男優賞・~女優賞を撤廃する日が来るかもしれません。

部門はたったの15部門とシンプル

ブリット・アワードの部門はたったの15部門しかありません。
80部門近くあるアメリカでの音楽の祭典グラミー賞と比べると、至ってシンプルです。

ブリット・アワードは、他の音楽賞と同じく、時代の流れを汲んで部門が減ったり新たに新設されたり、と頻繁に部門が変更されます。

下記のリストが、2023年現時点の全部門です。
緑:すでに受賞者発表済み
赤:TikTokでの一般投票可能
青:イギリス以外のアーティストが受賞できる部門

  • Album of the Year
    <アルバム・オブ・ザ・イヤー>
    ◎受賞:Harry Styles(ハリー・スタイルズ)「Harry’s House」
  • Artist of the Year
    <ベスト・アーティスト・オブ・ザ・イヤー>
    ◎受賞者:Harry Styles
  • Song of the Year
    <ソング・オブ・ザ・イヤー>
    ◎受賞曲:Harry Styles「As It Was」
  • Producer of the Year
    <プロデューサー・オブ・ザ・イヤー>
    ◎受賞者:David Guetta(デヴィッド・ゲッタ)
  • Group of the Year
    <グループ・オブ・ザ・イヤー>
    受賞者:Wet Leg(ウェット・レッグ)
  • Best New Artist
    <ベスト・ニュー・アーティスト>
    ◎受賞者:Wet Leg(ウェット・レッグ)
  • Rising Star Award
    <ライジング・スター賞> 

    ◎受賞者:FLO(フロー)
  • Best Pop/R&B Act
    <ポップ/R&B・アクト>

    ◎受賞者:Harry Styles(ハリー・スタイルズ)
  • Best Dance Act
    <ベスト・ダンス・アクト>

    ◎受賞者:Becky Hill(ベッキー・ヒル)
  • Best Rock/Alternative Act
    <ベストロック/オルタナティブ・アクト>

    ◎受賞者:The 1975(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)
  • Best Hip Hop/Grime/Rap Act
    <ヒップホップ/グライム/ラップ・アクト>

    ◎受賞者:Aitch(エイチ)
  • International Artist of the Year
    <インターナショナル・アーティスト・オブ・ザ・イヤー>

    ◎受賞者:Beyoncé(ビヨンセ)
  • International Group of the Year
    <インターナショナル・グループ・オブ・ザ・イヤー

    ◎受賞者:Fontaines D.C.(フォンテインズD.C.)
  • International Song of the Year
    <インターナショナル・ソング・オブ・ザ・イヤー>

    ◎受賞曲:Beyoncé 「Break My Soul」
  • Songwriter of the year
    <ソングライター・オブ・ザ・イヤー>※授賞式当日ではなく後日発表予定

インターナショナルがアツい

ブリット・アワードという名前のとおり、イギリス音楽を称える賞ですが、3部門のみ例外があります。

  • International Artist of the Year
    <インターナショナル・アーティスト・オブ・ザ・イヤー>
  • International Group of the Year
    <インターナショナル・グループ・オブ・ザ・イヤー
  • International Song of the Year
    <インターナショナル・ソング・オブ・ザ・イヤー>

頭にInternational(インターナショナル)が付いている、この3部門についてはイギリス以外のアーティストやグループのために設けられている部門です。

主な2部門について、今年度の顔ぶれを確認しておきましょう。

<インターナショナル・アーティスト>
– Beyoncé (ビヨンセ)
– Burna Boy (バーナ・ボーイ)
– Kendrick Lamar (ケンドリック・ラマー)
– Lizzo (リゾ)
– Taylor Swift (テイラー・スウィフト)

<インターナショナル・グループ>
– Blackpink (ブラックピンク)
– Drake & 21 Savage (ドレイク&21サヴェージ)
– First Aid Kit (ファースト・エイド・キット)
– Fontaines D.C. (フォンテインズD.C)
– Gabriels (ガブリエルズ)

一般投票ができる4部門

先ほどのリストの赤字が、2022年から新設された部門です。

  • British Pop/R&B Act
    <ポップ/R&B・アクト>
  • British Dance Act
    <ダンス・アクト>
  • British Rock/Alternative Act
    <ロック/オルタナティブ・アクト>
  • British Hip Hop/Grime/Rap Act
    <ヒップホップ/グライム/ラップ・アクト>

この4部門のみ、一般投票ができるようになっています。

投票期間は、現地時間1月19日PM12:00から2月2日PM12:00。
投票は、TikTokアプリを使って行われます。

最後に

性別による二分化の撤廃。(2021年)
国籍で制限していた受賞資格の変更。(2021年)
黒人プロデューサーInfloが初受賞。(2022年)

性別や国籍、人種に対する寛容化が進み、これまで受賞できなかった素晴らしいアーティストたちが、純粋に音楽のクオリティの高さで評価されるアワードへと少しずつでも変容していっていることは喜ばしいと感じます!

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