Lorde -Oceanic Feeling【解説】外界との一体感

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Lorde
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“Oceanic Feeling”とは、1927年にジークムント・フロイトに宛てられた手紙の中で、作家のロマン・ロランが創り出した用語です。

永遠の感覚や外界との一体している感覚のことを指します。

この感覚はさまざまな宗教的エネルギーの源であるとロランは語っています。

この感覚と歌詞にはどんな関係があるのでしょうか。早速内容を確認してみましょう。

Intro【解釈】私(ロード)と父とのoceanic feeling

Introでは、ロードの出生地ニュージーランドの豊かな自然が感じられる場面が描写されています。

通常、”blue day”といえば、気分がすぐれないという意味のブルーな日を指しますが、冒頭のblue dayはニュージーランドの青い空のことを指しています。

Bulliというのは、飛び込みポイントのこと。

ニュージーランドのタウポ湖には高さ7メートルの”Bulli Point”と呼ばれる飛び込みスポットがあります。

地元民なら誰でも一度は飛び込みたくなる大人気の場所だと想像できます。

ロードも例外ではなく、飛び込んで、着水して、水に包まれながら「父も少年だった頃は、こうして同じようなことをしていたんだろうな」と感慨にふけっています。

そんな飛び込みにも最適な別の青い日。

今度は二人で釣りをする流れになり、Verse 1へと話は続きます。

Verse 1【解釈】生き物への感謝

Introの最後の釣りの流れから、魚を釣り上げたようです。

Verse 1では、降り注ぐ太陽の下で釣り上げた魚にナイフを入れて、生き物の命に感謝する様子が描かれています。

Verse 2【解釈】弟よ、あなたは大丈夫

ロードには弟がいます。

名前は”Angelo”で、発音がよく似ていることから彼は”angel”と呼ばれているそうです。

このVerse 2では、弟のことについて語られています。

「シルバーチェーン」とは、前後の流れから天使の頭上に浮いている光の輪のことを指しています。

そのチェーンが頭の上に浮いているのが見えるほど、ロードにとって弟は目に入れてもい痛くない癒しの存在なのでしょう。

スケートボードの技「キックフリップ」をキメているときも最高にクールだと、べた褒めしています。

「怖かったでしょ」とロードが慰めている歌詞は、弟の自動車事故を受けてのことだと本人が語っています。

ただ、それだけではないと思います。

ロードは大人になることに恐怖を抱いていました。

ファーストアルバム収録の「Ribs」やサードアルバム収録の「Secrets from a Girl(Who’s seen it all)」で、このテーマについて歌ってきました。

ロードの弟が何歳なのかは不明ですが、「大人になることへの不安や恐怖といった感情は、時間が経てばすべて明らかになり、そういった感情は払拭されるから大丈夫だよ」と自分より若い弟に教えてあげているのだと思います。

Verse 3【解釈】手つかずの自然

Verse 3では、Intro部分と同様、再びニュージーランドの美しい自然が感じられる描写が綴られています。

入り江まで入ってきたエイ。

あたり一面に響く波音とセミの声。

夏の火照った体と熱くて溶けそうな脳みそ。

晴天続きで雲一つない青空。
(この青空は、曇天続きの「カリフォルニア」との対比です。)

何もかもリアルに存在するもので、ウソ偽りがない自然の場所です。

浮かない顔なんて、していられない場所です。

ここも、フェイクな場所でフェイクなことをしてる人たちを皮肉った「ムードリング」との対比になっています。

Verse 4【解釈】もしも娘が生まれたら

Verse 4では、将来に目を向けて「もし自分に娘が生まれたら…」という前置きで話を展開しています。

ロードのウエスト回りを受け継ぐのか。

それとも額にあるV字型の生え際が似るのか。

はたまた、夢想気質なところなのか。

いたずら好きな性格なのか。

Verse 5【解釈】ロードと娘とのoceanic feeling

Verse 5では、将来の娘をさらに具体的に深掘りして、母親(ロード)と同じように、恋人と割り勘したり、星を見て笑ったりするだろうか、とロードが思いを巡らせている部分です。

Intoで、ロードは飛び込みをして父親も同じことをしたかな、と感慨にふけっていました。

自分の娘にも、ふとした時に母親も同じことをしたかな、と思い出してほしいのだと思います。

そして、別の誰かと自分を重ね合わせて感じる感情のことをoceanic feelingで表しているのだと思います。

Refrain【解釈】もう口紅は必要ない

ロードにどんなイメージを抱きますか?

私はブラックチェリー色の口紅を付けてウェービーの髪形をしていたデビュー当時のイメージが強く残っています。

『Tennis Court』のMVのように、1stアルバム時のロードはよく赤黒いリップを付けていました。

それが彼女の一種のアイデンティティでした。

それが音楽業界で生き残るための、彼女にとっての武器や鎧でした。

Refrainでは、もうその口紅は引き出しの中で埃かぶって必要なくなったと歌っています。

その代わりに、呼吸や自然といった物以外のものが彼女の力となっています。

Outro【解釈】さいごは自分と一体化

この曲の最後は、自分の内面と向き合って悟りを開こうとしている部分です。

一年に一度試してみるものの、まだ開けてはいないようです。

この箇所が「Mood Ring」のフェイクな人たちと大きく違うのは、素直に悟りが開けていないと認めていることです。

フェイクな人たちは何となくヨガや瞑想の疑似体験をして、悟りを開いた気になっているだけにすぎません。

ロードは悟りを開くことに焦らず、慌てず、その時が来ると歌っています。

最後に

海に飛び込んだり、魚釣りをしたり、自然の音を聞いたりと、自然と一体化するような感覚。

過去の父親に思いを馳せ、父親と一体化するような感覚。

まだ見ぬ将来の娘との共通点を想像し、娘と一体化するような感覚。

“Oceanic Feeling”、感じられましたか。

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