Lorde -Secrets from a Girl (Who’s Seen it All)-【解説】とある少女の正体

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Lorde

若い頃の自分に何か伝えたいことはありますか?

「もっと若いうちにこうしたらいいよ」「あなたは大器晩成型だから、今はそんなに心配する必要ないよ」と今の自分から過去を振り返ってアドバイスしたいことはありますか?

今回ご紹介するロード(Lorde)の曲「Secrets from a Girl (Who’s Seen it All)」の意味について、先に結論をお伝えしておくと、この曲は「今現在のロードがこれまでの経験から学んだ知識を若かりし頃の自分に分け与えようと語りかけている」曲です。

この曲は、ファーストアルバム収録の「Ribs」との対比となっています。
Ribs」は、大人になることへの不安を描いた曲です。

「Ribs」の頃に感じていた不安は、大人になって払拭されたのでしょうか?

本文では、各節ごとの解釈と英語表現の解説をご紹介します。

Verse 1【解釈】大人になったロードのお酒のたしなみ方

1st、2ndアルバムでは「ダンス」や「お酒」「パーティー」という単語が、歌詞に多々出てきます。

そういった単語が頻繁に出てくる生活をしていたことが容易に想像できますが、環境に変化が訪れたようです。

ロードがどれほどお酒を飲めるのか定かではありませんが、”only two drinks(2杯のお酒)”で自制できるようになったことが歌詞で歌われています。

Verse 1【解釈】ごめんを口癖にしない

2ndアルバム収録の「Writer In the Dark」にこんな歌詞がありました。

Sorry I was never good like you
(悪かったわね あなたみたいないい人になれなくて)

Lorde -Writer In the Dark-

失恋がテーマになっている2ndアルバムは、自分に自信がなく自己嫌悪になっている心の状態が歌詞に表れています。

一方で、今回の曲はどうでしょうか。『最後に「Sorry」と謝ってからずいぶん経ってる』と歌っていることから、心境の変化が感じ取れます。

自分のメンタルが強くなり、自己肯定感が増しているようです。

Verse 1【解釈】パーティーは、親友のでも帰宅

2ndアルバム収録の「Sober II(Melodrama)」にこんな歌詞があります。

Lights are on and they’ve gone home
明かりはついたまま みんなは家に帰った

Lorde -Sober II(Melodrama)-

これはパーティが夜通し行われたことを”lights”(明かり)で表していますが、今回の歌詞は違います。
たとえ親友のパーティであっても、うんざりするパーティーなら、夜の時間帯になったら、家に帰ると歌っています。

まるで門限になったらきちんと家に帰る小学生のように、節度を持った大人へと成熟している様子が感じ取れます。

Pre-Chorus 1【解釈】誰かのためではなく、自分のために

人生は、あっという間です。

かつては15歳になるのが待ち遠しかったロードも、瞬きぐらい一瞬で10年の経過を感じています。

時間は経過し続け、待ってはくれません。

だったら、自分の人生は他人のためではなく自分のために追及しなくてはいけないと、ロードは若い頃の自分に諭しています。

ファンが、レーベルが、家族が、恋人が、「誰もがあなたの最高の状態を求めている」。
それでも、ファンのため、レーベルのため、家族のため、恋人のため、誰かのため…ではなく、まずは自分のために、自己愛を追求することが大事。

それが大人になったロードから若かりし頃のロードへのアドバイスです。

Chorus【解説】矛盾しているようで、していない

タイトルの”Secrets from a Girl (Who’s Seen it All)”には、英語の語順ならではのトリックが含まれているので、ここを解説します。

まずは前半部の”secrets from a girl”。
“keep a secret from 人”は「人には秘密にしておく」という意味。
これをタイトルに当てはめると「とある少女には秘密」。
(fromをそのまま直訳して「とある少女からの秘密」にすると、少女がなにか秘密を隠している意味になってしまうので要注意です。)

「とある少女には秘密」と言い切った後、どんな少女かが括弧で囲まれた関係代名詞の後ろで説明されます。
どんな少女かというと、”who has seen it all”「すべてを見てきた少女」です。

一旦、ここまでをまとめて日本語にすると「とある少女には秘密(すべてを見てきた少女のこと)」です。

???

秘密を知らない少女と、すべてを見て知っている少女が、同一人物だなんて矛盾を感じませんか?

そこで、冒頭で伝えたこの曲のコンセプトを思い出してください。
この曲は「大人のロード」から「若い頃のロード」に宛てて書いた曲。

この考えを踏まえてもう一度頭を整理すると、少女は異なる時系列にいるロードだと判ります。
– “secrets from a girl”「とある少女」= まだ何も知らない若い頃のロード
– “a girl who’s seen it all”「すべてを見てきた少女」= 今現在のロード

前半は秘密にされている側の人生経験の乏しい未熟なロードで、後半は酸いも甘いも経験した秘密を知っている今のロードという構成になっているのです。

ここを理解できれば、なぜタイトルの後半部分に括弧が付いているのかも合点がいきます。
通常、関係代名詞whoの後ろは、前の人物(今回の場合、a girl)の説明が来る箇所なので括弧を付ける必要はありません。
しかし、歌詞には意図的に括弧が付いています。関係代名詞の前も後ろも同一人物には違いないのですが、時系列が違うからです。

一見、矛盾しているように見えますが、秘密(=人生経験)をまだ知らないとある少女も、すべてを見てきた少女も、どちらもロード自身であることは変わりないので、このような表現が可能なのです。

この1文で自分の昔と今を比較させている巧妙なトリックです。
この矛盾しているようでしていない絶妙な歌詞センスが素晴らしいです。

「秘密を知らない少女」で伏線を張っておいて、「すべてを見てきた少女」でネタバレするという流れに意表を突かれます。英語の語順だからこそ、なせる技だと思います!

Verse 2【解釈】悲しんでる自分を慰め励ます

この節では、過去の悲しかったことや傷ついたことを思い返し、自分で自分を慰めています。
具体的には、ロードの愛犬パールが亡くなった悲しい過去のことを振り返って書いた箇所だそうです。

自分の負った傷の深さに寄り添いながらも「また心を開いて愛し始めて」と、前を向くことを諦めてはいけないと諭しています。

Pre-Chorus 2【解釈】野望を絶やすな

先ほどのVerse 2からの流れを汲んで、このパートも終始自分を鼓舞する言葉が綴られています。

年齢を重ねると、悲しみに暮れていた日々や時間がもったいないと感じます。
人生は有限です。

「夢」「内なるビジョン」「野望」を絶やすことなく心を燃やし、突き進んでいってほしいと願っています。

Outro【解釈】今いる場所「悲しみ」はあくまで中継地点

このフライトアテンダント風のセリフを言っているのは、スウェーデン歌手のロビンです。ロードが影響を受けたアーティストの1人で、声を掛けたらこの曲のレコーディングに参加してくれたそうです。

ロビンは開口一番、『「悲しみ」へようこそ』と歌っています。
ここの行間を読むと、若かりし頃のロードは悲痛の感情に包まれていたことが感じ取れます。
しかし、歌詞をそのまま読み進めると「悲しみ」はあくまで中継地点で、最終目的地(final desitination)は別にあることが判ります。

「悲しみ」に暮れていても、そこは中継地点なので大丈夫。
日の出が差すような、ぱあっと気分が明るくなるような最終目的地までは、ロビンがアテンドしてくれるようです。
だから、ストレンジ・エアラインで気持ちの整理をしましょう。

Outro【解釈】実存哲学とexistential crisis

歌詞の最後に出てくる「実存(existential)」や「めまい(vertigo)」といった単語は、実存哲学で出てくるキーワードです。

実存哲学とは、人間は生まれた(実存)後に、自分の存在の意味(本質)を見出していくという考え方です。

日本語訳がないほど日本には浸透していませんが、”existential crisis”(実存的危機)という言葉が、英語圏では普通に使われています。専門用語でも哲学用語でもなく、普通の生活に出てくる単語です。

それほど、英語圏では「自分は何のために生まれたのか」「生きる意味とは」ということに対して、積極的に向き合っている証拠だと思います。

まとめ

この曲は、悲しみに暮れていた若い頃の自分に対して、現在のロードがアドバイスをする内容の歌詞でした。

どんな悲しみを経て今の心境に至るのかは、ぜひ前の曲と聞き比べてみてください。

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