Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)「Ocean Eyes」【解釈と考察】

Billie Eilish-Ocean-Eyes Billie Eilish

海に飛び込んだ経験はありますか?

私はありません。

経験はないのですが、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の「Ocean Eyes(オーシャン・アイズ)」を聞くと、まるで今から海に飛び込もうとするような感情が浮かんできます。

それは、不安と恐怖と期待とドキドキと好奇心が複雑に入り混じったもの。

海の深さは、どれくらいあるのだろうか。
海に潜ったら、どんな世界が広がっているのだろうか。
海の水温は冷たいだろうか。それとも、温かいだろうか。

そういった疑問からくる感情です。

この曲は、恋に落ちていくことを、海のような≪あなた≫の瞳に飛びこむと歌うことで表現している曲です。

想いを寄せている≪あなた(の瞳)≫が、海に例えられています。

もしかすると、私たちが海に対して抱く感情と、恋に落ちる時の感情は共通しているのかもしれません。

そう思わせるのが、今回の曲です。

では、それぞれの歌詞パートには何が綴られているのでしょうか?

この記事で、歌詞に込められている意味を考察してみたいと思います。

いろんな解釈ができるのが歌詞の魅力です。一意見として、この記事が参考になりましたら幸いです。

Verse 1【解釈】≪あなた≫の青と、≪私≫の赤

出だしのヴァース1は、色の対比が美しい歌詞です。

タイトルの「Ocean Eyes(のような瞳)」のと、その瞳に映る「burning cities(燃える街)」や「napalm skies(ナパーム弾を受けたような焼け付く空)」と「fifteen flares(15の)」の

色の対比はもちろんですが、色から連想される≪あなた≫と≪私≫の人物描写の対比も、ここでは表現しているのではないかと思います。

たとえば、海のような青い瞳をした≪あなた≫からは、クールで穏やかなイメージが浮かびます。

一方での≪私≫は、その瞳に心を奪われて穏やかでいられない様子が、まるで街で戦争でも起きているかのような激しい情景描写で表現されています。

Chorus【解釈】吸い込まれそうな魅力と怖さをもつ≪あなた≫は、海そのもの

コーラスでは、海の瞳を持つ、チート機能を持った≪あなた≫に飲まれてしまう心情が歌われています。

引き込まれるような魅力

それと同時に、語り手は相反する感情である恐怖も抱いています。

なぜでしょうか?

それは、まさに私たちが「海」に対して抱いている感情と同じだからなのかもしれません。

港や船上から海を眺めていると、海に吸い込まれそうになってヒヤリとした経験はありませんか?

私も含め、海を眺めていてこのような経験をしたことのある人はどうやら一定数いるようです。

それは、海の持つ魔力です。

吸い込まれそうな魅力と、謎に包まれた怖さ

その両方をたずさえた魔性さが「海」の魅力であり、≪あなた≫の魅力でもあるのだと思います。

このブロックは、恋に落ちること(fall in love)を、「≪あなた≫の海の瞳に飛び込んでいく」で表現しています。

しかし、このブロックを考察していて、一つ引っかかる箇所があります。

相手の魅力を歌っているはずなのに、一箇所だけ浮いた言葉が出てきます。

その部分とは、「≪あなた≫は≪私≫の泣かせ方をよく分かっている」です。

人が泣くときは、主にうれしい時か悲しい時かの2択。

歌詞に出てくる「泣く」は、どちらでしょうか?

私は、後者だと思います。

なぜなら、≪あなた≫は青で≪私≫は赤だからです。

Verse 1で、赤の≪私≫は「燃える」「焼け付く」「炎」といった形容で表現されています。

つまり、海に飛び込めば消えてしまう炎ように、赤の≪私≫と青の≪あなた≫は相容れない存在ということです。

でも、人はときとして自分と全く異なる人に、磁石のS極とN極のように強く惹かれてしまう生き物です。

だから、≪私≫は泣くのを覚悟で、≪あなた≫の海のような瞳に飛び込んだのではないかと思います。

Verse 2【解釈】ダイヤモンド・マインドと三人称の謎

コーラスで、語り手は海のような≪あなた≫の瞳に飛び込みました。

その結果、どういう結末を迎えたのか描いているのがヴァース2ではないかと解釈しています。

ヴァース2の冒頭は、「先の見えないとある世界をずっと歩き続けている」と歌っています。

これはコーラスから続く「海」の話に置き換えると、≪私≫が飛び込んだ≪あなた≫の海は視界がとても悪い、と言い換えることもできます。

恋に落ちて相手に近づいた、もしくは付き合ったものの、相手の考えていることが全く分からない状態のことではないかと思います。

相手と心を通わせられていないもどかしさを表しているのかもしれません。

それが、「ダイヤのような心(diamond mind)」と歌う歌詞にも表れていると言えます。

ダイヤモンドは、鉱物の中でも極めて硬い石。

そして、その特徴が次の歌詞「用心深い人間」に言い換えられています。

つまり、相手は簡単に心を開いてくれるような人物ではないのです。

だから、「用心深い人間は時間と友になった」。

つまり、≪あなた≫のダイヤモンドの心を開くには、時間が必要なのです。

そう簡単に心を許す人物ではないのだと思います。

このブロックの最後は、「≪彼≫はダイヤの心と海の瞳とともに、≪彼女≫を孤独にして去っていった」です。

つまり、相手は心を開くことなく、去っていった、もしくは別れたと捉えることができます。

気になるのは、この部分のみ、三人称のHeとherが使われていることです。

なぜでしょうか?

ここの時制は過去形です。

つまり、もう過ぎてしまった過去のお話。

すでに≪私≫の中で過去の出来事として昇華し終わっていて、一つの物語や作品として客観視することができているため、時系列的に最後であるこの箇所は、≪あなた(you)≫と≪私(I)≫ではなく、≪彼(he)≫と≪彼女(her)≫に変容させたのではないかと思います。

最後に

自分にないものを持っている相手に、強く惹かれ恋に落ちる気持ちは痛いほど共感できます。

しかし、この曲の「青と赤の対比」や「ダイヤモンドのような心」で考察したように、相手との温度差を感じずにはいられません。

この曲は、元々ビリーの兄であるフィニアス(Finneas)が自分のバンド用に自ら作詞作曲して、ビリーのダンスパフォーマンス用に彼女にあげた曲。

泣くのを覚悟してたとはいえ、フィニアスの飛び込んだ海は思いの外冷たかったのかもしれません。

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