Lorde -California-【解釈】夢の街ではない

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Lorde

カリフォルニアにどんなイメージを持っていますか?

映画産業の中心地、ハリウッドのイメージ?
ギラギラ降り注ぐ日差しと広大なビーチのイメージ?

否。

ロードは自身の経験をもとに、別のイメージを抱いています。
そのことについて歌われているのが今回ご紹介する、「California(カリフォルニア)」です。

先に結論をお伝えすると、この曲は『いい意味でも悪い意味でも人生を変えてくれたカリフォルニアへの思い』を歌った曲です。本文では、各節ごとの考察を踏まえた解釈と英語表現をご紹介します。

この曲の歌詞は抽象的で解釈難易度としてはMAXです。
「自分なりに和訳してみたけど、意味が分からなかった」という方のご参考になれば幸いです。

Verse 1【解釈】栄光を手にした瞬間と、youの正体

Verse 1の前半は、ロードがグラミー賞を受賞したときのことを振り返っています。
2014年カリフォルニア州LAで行われた第56回グラミー賞にて、ロードの代表曲「Royals(ロイヤルズ)」は最優秀楽曲賞と最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞を受賞しました。
そのときのプレゼンターが、今回の歌詞にも登場するシンガーソングライターの“キャロル”・キングです。歌手としての新たなの扉が開かれた瞬間だったと歌っています。

気になるのは、後半部分。
授賞式の一幕を振り返ったあと、「今では“あなた(you)”に膨大なお金を貢いでいる」と歌っています。
このyouはいったい誰/何のことを指しているのでしょうか?

2つの考え方ができます。一つはトロフィー説、もう一つはカリフォルニア説です。

●トロフィー説
ヒントは冒頭にあると思います。歌詞の冒頭、グラミー賞で輝かしい賞を受賞してトロフィーを受け取った時のことを振り返っています。
なのでここでの”You”は「グラミー賞の黄金のトロフィー」を指すと考えると合点がいきます。
トロフィーがまた自宅のベッドに戻ってきてくれるなら(=グラミー賞をまた受賞してトロフィーをベッドルームに飾れるのなら)、ホテル代やジェット飛行機代を出してでも音楽活動を頑張ろうとする意気込みが感じられます。
しかし…トロフィーのために頑張るという行為は、自分を苦しめ危険にさらす毒(歌詞では「毒矢」と表現)。賞レースを制するための活動は身を滅ぼしかねないということに気付いています。

●カリフォルニア説
もう1つの解釈ができるのが歌詞の面白さです。
カリフォルニア州は、1848年に金が発見され世界中の人が殺到したことから、別名、黄金の州(golden state)と呼ばれています。よって、またカリフォルニアに戻るためなら、いくらでもつぎ込む、と歌っているように解釈することもできます。

両方の説を採用し、トロフィーでありカリフォルニアであり、「カリフォルニア」を象徴するすべてのものが、この歌詞のyouの正体だと思います。

Verse 1【英語表現】swung open: 勢いよく開く

“the doors open”という文もありますが、今回は間に”swing”が含まれいるので、ドアが大きく前後に揺れて開かれるイメージです。

Pre-Chorus【解釈】グッバイ、カリフォルニア

グラミー賞の開催地ステイプルズ・センターはカリフォルニア州LAにあります。
カリフォルニアに近づけば近づくほど、自分が毒されると気づいたロードはカリフォルニアから離れることにしたようです。
この節ではロードが思うカリフォルニアのイメージをいくつかの単語で表現している箇所です。

  • bottles: カリフォルニア州は、ほかの州に比べてトップクラスのアルコール消費量。
  • models: 娯楽産業の中心地カリフォルニア州LAは多くのモデル事務所があります。
  • clouds: 場所によりますが、カリフォルニアは降水量が少なく霧がよく発生します。

私たちがテレビや映画で植え付けられているイメージとは裏腹に、カリフォルニアは意外と雨の降らない曇天の日が多いようです。気象に関するサイトによると、LAでは11月~4月の約6カ月間は曇天の多い期間だそうです。

Chorus【解釈】“その”カリフォルニア愛は望まない

ロードは決してカリフォルニアが嫌いなわけではありません。

ただ、賞レース、アルコール、華やかなモデルたち、雨の降らない曇天、といったものが表わすカリフォルニアは望んでいないのです。
その証拠に、”that” California loveと歌っています。thatは前の節の、bottles,models…を指しています。

Verse 2【教養】 Canyon store: キャニオンストア

The Canyonというお店が、カリフォルニア州LAにあります。70年代のカウンターカルチャーやロックをコンセプトにしたヴィンテージアパレルストアです。
歌詞では、「キャニオンストアは、私のワールドが始まった場所」だと歌っています。
今回のアルバムは、自然回帰を志向するヒッピー的な考えがテーマになっているので、このアパレルストアのコンセプトとロードの考え方には通じるものがあります。

Verse 2【解釈】砂漠の花々は何を指すのか?

「不思議なことや美しさは/砂漠の花々と才能のある子どもたちによって少しずつ集められたの」と歌っています。
これは何を意味するのでしょうか?

第一に、「砂漠の花々と才能ある子ども」がandで繋がっていることに疑問を感じます。
普通、andは同等のものを並列させるときに使います。
例) I like apples and oranges.
(私はリンゴとミカンが好きです)

並列を完成させるには、「砂漠の花々」をなにかしらの「人」に変換させる必要があります。
そこで、歌詞の流れを考慮に入れます。
1つ前の「キャニオンストア→ヒッピーをコンセプトにした店」の流れから、「花々」は「フラワーチルドレン」を指しているのではないかと解釈しました。
「フラワーチルドレン」とは、ヒッピーの別名です。
また、ヒッピームーブメントの中心地はカリフォルニア州だったことからも、この解釈は正しい可能性が高いと思います。

でも、なぜフラワーの”desert”(砂漠)が付いているのでしょうか?
砂漠に育つ花々は、どんな厳しい環境でも逞しく成長しようとしています。
そんな砂漠の花のように、フラワーチルドレンたちはアメリカを変えようと、愛と平和で満たそうと奮闘していました。そんな歴史的背景が”desert flowers”に込められているのではないかと思います。

以上を踏まえて、もう一度並列してみます。
「厳しい環境で奮闘してきたフラワーチルドレン(=ヒッピー) and 才能ある子どもたち」
これで、並列させても自然なほどに変換することができました。

ここで新たに気付いたことは、「奮闘してきたフラワーチルドレン」と「恵まれた才能ある子どもたち」が対比になっていること。

カリフォルニアという街は、愛と平和を願って戦ったヒッピーたちと、映画業界/音楽業界/モデル業界で活躍するために集められた才能ある子どもたちによって創られた街なのです。

Verse 2【解釈】自分らしくいられる場所で

フラワーチルドレンと才能ある子どもたちによって、不思議なものや美しいものの寄せ集めで成り立っている街がカリフォルニアです。

そんな魅力の詰まった街があるのにもかかわらず、「私の首周りにあるあなた(=カリフォルニア)の冷たい手があっては成長するのは難しくなった」と歌い、ロードはホームタウンに帰還。友人や恋人と日光浴を楽しんでいる様子が歌詞に綴られています。

夢を叶えてくれる街カリフォルニアは、刺激的である一方で身を削って自分の首を絞めながら働かないと立っていられない場所なのかもしれません。そんな場所で頑張ろうとしても成長は見込めません。

ありのままの自分を受け入れてくれる人たちに囲まれ、自分らしくいられる場所で生きてこそ、心に余裕が生まれ、伸び伸びと成長できクリエイティブな活動ができるのではないでしょうか?
この歌詞からはそのようなニュアンスが込められているのではないかと感じました。

それでも、「テキーラの匂いを嗅ぐ度に」カリフォルニアを思い出し、また成長しよう、また音楽活動がんばろうと、心の中の成長の兆しを感じ取っている様子も同時に読み取れます。

Outro【解釈】夢のカリフォルニア

カリフォルニアの曲といえば、あなたは何を思い浮かべますか?

カリフォルニアをテーマにした曲はたくさんありますが、代表的な曲がThe Mamas & Papas(ママス&パパス)の『California Dreamin’』。
この曲しかり、「カリフォルニア'(California)」と「夢(Dream)」は切っても切り離せない言葉です。カリフォルニアの中でも、特にLAは夢を持った人たちが集まる街です。夢を叶えようと奮闘する男女の物語、映画『ラ・ラ・ランド』の舞台もLAでした。

ロードはデビューシングルもデビューアルバムも大ヒットして、夢のような時間を過ごしていました。
しかし、あまりに早く栄光を手に入れてしまうと、それを維持し続けるのが大変になってきます。
カリフォルニアが与えてくれる栄光や夢の呪縛から、解放されたい胸の内をこの節では歌っていると推察します。

Pre-Chorus 2【解釈】地位もステータスもいらない

スタバでほかのお店よりも高いコーヒーをわざわざ買うという行為が、一種のステータスになっています。
Supremeも同様です。何ら変哲もない普通の白Tシャツが非常に高値で販売されているのにもかかわらず、新作が出ると多くの若者が我こそはとお店に並びます。

そのお店のものを買うことで自分のステータスを誇示できるからです。
しかし、ロードはそんなステータスは必要ないと歌っています。

まとめ

この曲は、ロードが思うカリフォルニアのイメージが詰まった歌詞でした。

授賞式が行われるような夢を叶えてくれる場所であり、ヒッピームーブメントの中心地であり、刺激的な場所である一方で、長くいればいるほど自分が毒されていくようで、決して永住できるような落ち着いた場所ではなかったようです。

ニュージーランドの大自然で生まれ育ったロードには、ホームタウンのほうが居心地がいいのかもしれません。

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