Katy Perry -Firework-|歌詞の魅力に迫る

Katy_Perry_Firework Katy Perry

2010年にリリースされたケイティ・ペリー(Katy Perry)の不動の人気曲「Firework」。
「ケイティで一番好きな曲は?」と聞かれたら、多くの人がこの曲を選ぶのではないかと思います。

その魅力の理由は何でしょうか?キャッチーな曲調?力強い歌詞?

それだけではないはず。キーワードは、「カウンターカルチャー」「エンパワーメント」

その理由と歌詞の魅力を、この記事で紹介したいと思います。

この記事はこんな人に向けて書きました

・ケイティ・ペリー「Firework」の魅力について、知りたい人
・名作が生まれたルーツについて知りたい人
・歌詞に出てくる英語表現を深く理解したい人
→Do you ever~?とHave you ever~?のニュアンスの違い…など
・3パターンある歌詞について気になっている人

【用語の確認】カウンターカルチャー/エンパワーメントとは?

カウンターカルチャーとは?

これまでの主流だった既存文化に対抗・反発(カウンター)する形で1960年代に生まれた文化のことです。
既存文化とは、主に次の4つで成り立っていた社会を指します。
・資本主義システム(金を多く稼いだ人が優位に立つ)
・昔らからのキリスト教的文化(同性愛、フリーセックス、離婚、中絶はNG)
・権威主義(男や父親が中心になって動く男性中心の社会)
・保守主義(白人優位の社会で女性や移民に対して不寛容)

「こんな窮屈なアメリカはイヤだ!」とこれまで立場の弱かった黒人・女性・同性愛者などの人々に加え、若者の間でとくに火が付き、カウンタカルチャーブームが起きました。そんな若者のことをヒッピーと称されました。

エンパワーメントとは?

英英辞書のempowermentの意味は、「何かをするために誰かに与えられる権限や力」「自分の人生をコントロールし、自分の権限を主張して、より強く、より自信を持とうとするプロセスのこと」です。

【ルーツ】どのようにして「Firework」が生まれたのか?

ケイティがこの曲を作詞するにあたって、インスパイアを受けたのが、ジャック・ケルアックの小説『路上』(On the Road)です。

1959年に最初に日本で出版された時のタイトルは『路上』ですが、2007年の新訳版のタイトルは『オン・ザ・ロード』
ケイティは当時付き合っていたボーイフレンドから薦められて、この本を手に取ったそうです。

~ざっくり小説解説~

どんな内容?⇒作者自らのアメリカ大陸での放浪体験をもとに書いた自伝的小説。

時代背景は?⇒1940年代から50年代のアメリカ。

何に影響を与えた?⇒自由気ままに放浪する様子が、その後のカウンターカルチャーに大きな影響を与えた。

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『オン・ザ・ロード』はケイティだけでなく、ボブ・ディランをはじめとする音楽界の重鎮たちにも影響を与えた名著です。

ケイティが本から影響を受けた箇所は、おそらく次の箇所ではないかと思います。

[…]the only people for me are the mad ones, the ones who are mad to live, mad to talk, mad to be saved, desirous of everything at the same time, the ones who never yawn or say a commonplace thing, but burn, burn, burn like fabulous yellow roman candles exploding like spiders across the stars and in the middle you see the blue centerlight pop and everybody goes “Awww!

— Jack Kerouac On the Road

拙訳
[…]私にとって唯一の人々は、狂った人々、生きることに狂った人々、話すことに狂った人々、救われることに狂った人々、同時にすべてを望んでいる人々、決してあくびをしたり、ありふれたことを言ったりしない人々のことです。燃えて、燃えて、黄色いローマのキャンドルが星々を渡るクモのように爆発し、真ん中の青いセンターライトが飛び出ているのを見た人が「ああ!」と声を上げるほど燃えている人々のことです。

“burn, burn, burn”や”everybody goes Awww”のところは、歌詞との共通点が感じられます。
MVではこの引用部になぞらえて、ケイティの胸から花火が飛び出し燃えています。ケイティのみならず、ビデオに出てくる人たちは、みな心を燃やしているのです。

【MV】何がMVには描かれているのか?

<登場人物>
(1)家で、両親が言い争いをしているのを聴いている幼い兄妹(0:23~)

(2)プールサイドで、自分の体形を気にして、洋服で全身を隠したままの女性(0:30~)

(3)病院で手術の開始を待っている、髪の毛のない女の子(0:39~)

(4)クラブで、みんなが踊っている中、1人で下を向いて座っているゲイの男性(1:21~)

(5)路上で、歩いているところを不良に襲われる手品師の男性(1:48~)

<サビの部分で起きる登場人物の変化>
(1)兄妹:耳をふさぐ妹のそばで、兄は意を決して両親の喧嘩を止めに行く

(2)女性:服を脱ぎ、体形があらわになったビキニ姿で、プールに飛び込む

(3)女の子:病室を出て、今置かれている状況と正反対の位置にある、出産という生命の誕生を目の当たりにして、病院の外まで出る

(4)ゲイの男性:男性にキスをする

(5)手品師:トランプのマジックを披露して相手の虚をつく

登場人物は全員、立場の弱い人々の象徴として描かれています。
ビデオの公判では、自分たちの可能性を信じて立ち上がり、行動し、自分を変えようとしています。エンパワーメントを発揮しています。

他人や周りの環境を変えようと思っても、そう簡単には変えることはできません。
誰かが環境を変えてくれるのを待っていても、その時は一生やってこないかもしれません。

まずは自分の考えを、自分の行動を、変える大切さをこのMVでは説いています

~補足情報~

このミュージックビデオの監督を務めたのが、MV界のヒットメーカー、デイブ・マイヤーズ(Dave Meyers)。最近の有名曲のMVは大体、彼が監督しています。

<彼の手掛けた主なMV>
・Billie Eilish『bad guy』
・Shawn Mendes, Camila Cabelo『Señorita』
・Coldplay FT. BTS『My Universe』
・Ed Sheeran『Bad Habits』

…など。

あなたの好きな曲のMVも彼が手掛けているかもしれません。

【英語】歌詞から学べる英語と教養

ここからは歌詞に出てくる表現を6つ取り上げ、意味やニュアンスを深堀します。

【比較】do you ever/have you everの違いは?

歌詞の冒頭に出てくる”Do you ever feel~”の現在形と、よく混同する現在完了形の違いをおさらいしておきましょう。

時制のニュアンスの違い/everのニュアンス

●Do you ever~ 現在形は、基本的に半永久的に物事を続けている、習慣的にしていることを表すときに使う時制です。
例) Do you ever talk in your sleep?
(あなたは(よく、習慣的に)寝言を言いますか?)

●Have you ever~ 経験を表す現在完了形は、現在までの経験を表す時制です。
例) Have you ever been to New York?
(ニューヨークに行ったことはありますか?)

●ever~ そして大事なのが「ever」のニュアンス。
「これまで」と辞書の内容をそのまま覚えていては、現在完了形にしか使えないことになります。Do you ever, Did you ever, Have you everといった時に使われれるeverは「強調」のニュアンスが込めれられています。
英英辞書Collins Dictionaryによると、「相手への同意を期待して、驚きやショックを表現するために使用される」とあります。

歌詞に戻ると、Do you ever~が使われているので、ニュアンスを含めてすべて書き出すと「(質問相手への同意を期待して)しょっちゅうビニール袋のように感じることはある?」という意味です。

【英語表現】a house of cards

「砂上の楼閣」

トランプカードで作る家は、もろくて長く維持できない「砂上の楼閣」です。

【英語表現】six feet underの意味は?

「埋葬されている、死んでいる」

これは、死体を埋める時に穴を6フィート掘ることから生まれたイディオムです。
例) You can’t tell my secret to everyone until I’m six feet under.
(私が死ぬまで皆には秘密を洩らさないでね)

通常、上の訳例のようにこの表現はunderの後には何も置かないで文を終えることが多いのですが、この歌詞ではunderのあとにscreamsが来ています。
なので、「6フィート下に埋葬され棺の中から必死に叫んでいる」といった意味を持ちつつ、「埋葬」「棺」「叫び」のキーワードからホラー要素を少なからず持たせている箇所に思えます。

【教養】Fourth of Julyの意味は?

「独立記念日」

「独立記念日」を英語で言うと、まず真っ先に出てくるのが”Independence Day”です。しかし、歌詞のように日付そのものを独立記念日として表現されることもあります。

1776年7月4日にアメリカ独立宣言が公布されたことを記念して、毎年この日は祝日となり様々なイベントが開催されています。目玉となるのは、この曲名にもなっている打ち上げ花火です。
このラインのオリジナルの歌詞は、”like a firefly”(ホタルのように)だったそうですが、多くの人がオリジナルではなく”Like the Fourth of July”を使用していたため、ケイティも最終的にオリジナルの歌詞から変更したそうです。オリジナルの「ホタル」も可憐な感じがして素敵ですが、インパクトは「独立記念日」のほうがありますね。

【揺れる表記問題】 You’re gonna leave them all in awe

こちらの歌詞は、歌詞掲載サイトのGeniusを参考に和訳したものですが、この箇所の表記が揺れており、実際3パターンあります。

3パターンの歌詞

● You’re gonna leave them all in awe ⇒ Genius (歌詞掲載サイト), Youtube公式Lyric Video
(みんなを圧倒させるの)

● You’re gonna leave before they know ⇒ Youtube公式Music Video
(みんなが気づく前にあなたは去るの)

● You’re gonna leave’em falling down ⇒ Musixmatch (歌詞掲載サイト)
(みんなをひっくり返らせるの)

自分の手元にCDがないのでCD版は確認できていませんが、お持ちの方がいらっしゃいましたら、どのバージョンだったかご連絡をお待ちしております

いずれにせよ、ケイティの公式Youtubeチャンネルで、歌詞が2パターン存在するという奇妙な現象が起きています。

歌詞の流れと該当箇所のリスニングから判断すると、最初の歌詞のような気がします。

【英語表現】what the future holdsの意味は?

「将来なにが待ち受けているか」

holdは「何かを手に持つ」「携える」という意味を持つ単語。futureを主語に置くと直訳では「将来が何を携えているか」、自然な日本語では「将来なにが待ち受けているか」という意味になります。

まとめ

リリースから10年以上経ちましたが、いまだにケイティの名曲といえば、必ず「Firework」が名前に挙がります。ライブやスーパーボウルなどの大事なイベントでは必ず歌われます。

最初の問いに戻り、なぜずっと人気なのか。何が魅力なのか。

いまだに対等な扱いを受けていない人や、自分の可能性を制限せざるを得ない状況にある人が大勢いるという点が、多くの人の共感を生みこの曲が聴かれ続けているのではないかと思います。

社会的圧力や制限、差別などはいまだになくなっていません。記憶に新しいのが、セクハラ被害を受けた女性たちによるMe Too運動や、白人警官に殺されてしまった黒人ジョージ・フロイドさんの事件。

「Firework」は、差別や抑圧に屈することなく、誰しもが持っているおのおのの内なるパワーを最大限発揮させる起爆剤になっていることが、最大の魅力だと感じます。

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