あなたにとって、「カリフォルニア」の曲といえば何を思い浮かべますか?
ビーチボーイズの「California Girls」(1965)?それとも、ケイティ・ペリーの「California Gurls」(2010年)?はたまた、レッド・ツェッペリンの「Going to California」(1971)?ロードの「California」(2021年)?
世代や聴いてきた音楽のジャンルによって意見が分かれそうですね。
今回ご紹介するのはママス&パパスの「California Deamin’」(邦題:夢のカリフォルニア)。
この記事では、バンドの略歴からヒット曲「California Dreamin’」に至るまでをご紹介します。
ママス&パパスの結成とグループ名誕生まで
メンバーは男女2名ずつ。
ジョン・フィリップスとミッシェル・フィリップスの夫婦に、デニー・ドハーティとキャス・エリオットを加えた4人で構成されています。
HOW: 彼らはどうやって、結成に至ったのか?
1960年代、ジョンは「ジャーニーメン」という3人組のフォークバンドに所属していて、そのツアー中にミシェルと出会います。
2人はすぐに恋に落ちますが、ジョンはすでに結婚していました。
ジョンはすぐに離婚し、ミシェルと結婚。
ジョン、ミシェル、マーシャル・ブリックマンの3人で「ニュージャーニーメン」を結成。
前のバンドに「ニュー」が付いているだけですが、「ジャーニーメン」からいるのは、ジョンのみです。ほかの2人はどこへやら…。
ちなみに、「ニュージャーニーメン」に加わったマーシャル・ブリックマンは、脚本家への道を志してすぐにバンドを去り、現在も脚本家や監督業をされています。有名な作品は2014年公開の『ジャージー・ボーイズ』。
マーシャルが辞めたあとの穴を埋めてくれたのが、デニー。
デニーはもともと、「ハリファックススリー」というバンドに所属していました。
その後、「ビッグスリー」に所属していたキャスと友好を深め、フォークバンド「マグワンプス」を結成するも、そのバンドは倒産が原因ですぐに解散。
「ニュージャージーメン」の空いたポストを補うため、まずデニーが加わります。
その後、デニーの強い推薦でキャスも参加。やっと4人がそろいましたね。
「the Magic Cyrcle」という名前で、フォークバンドを結成します。
最初から、ママス&パパスという名前で活動していなかったそうです。
WHY: なぜ、ママス&パパス?
突然ですがヘルズ・エンジェルスを知っていますか?
アメリカで生まれ、今や国際的に活動を行っているバイクに乗った暴力団のことだそうです。
私はこの記事を書くためにママス&パパスの記事を調べていて初めてこの集団のことを知りました。
主な収入源は、殺人・恐喝・麻薬の密輸などだそうです。。。おそろしい団体です。
ある日、ミシェルとキャスがヘルズ・エンジェルスのドキュメンタリー番組を見ていて、男性陣が女性陣のことを「ママス」と言っているのを聞いて気に入り、自分たちのことを「ママス」と呼び出したそうです。
それで、必然的に男性陣のことを「パパス」と言い、「ママス&パパス」という名前が誕生したのです。
バンドのその後
「夢のカリフォルニア」リリース後、彼らの勢いの絶頂期に、ミシェルとデニーの不倫が発覚。
一旦、ミシェルはバンドから脱退させられるも、すぐに復帰してジョンとよりを戻しています。
その後の数年は活動を続けますが、「夢のカリフォルニア」ほどのヒット作を生み出すことはできませんでした。
最後のアルバム『People Like Us』では、お互いに顔を合わすことなく各自でレコーディングするほど、メンバー内の関係はぎくしゃくしていたとされています。
メンバーはそれぞれ、ソロ活動へ…。
・ジョン:ソングライターとして、デヴィッド・ボウイの映画『地球に落ちて来た男』(1976)の楽曲を手掛ける。
・ミシェル:女優として、映画『デリンジャー』に出演。
・キャス:4人の中でソロ活動が最も大成功。歌手として活動を続けていたが、心筋梗塞により32歳の若さで逝去。
・デニー:歌手として活動を続ける。
・ジョン&ミシェル:バンド解散後、ほどなくして離婚。
・キャス&デニー:バンド解散後も、2人の交友関係は続行。キャスはデニーに結婚をほのめかすも、デニーは拒否。
WHO: 誰が作詞作曲したのか?
ママス&パパスの楽曲のほとんどは、ジョンが作曲しています。
この曲もその1つ。
しかし、歌詞の「教会に行く」という箇所などは、教会好きの妻のミシェルが書いています。
ジョンは当時、宗教が嫌いでこのラインを嫌っていましたが、最終的には残すことにしたそうです。
WHAT: 何がヒットを生み出したか?
ヒッピー文化が追い風となり、この曲はさらに売上を伸ばしたのではないかと思われます。
ヒッピー文化発祥の地は、カリフォルニア州サンフランシスコのヘイトアシュベリーとされています。
1960年代、戦争反対や自由を求めて多くの若者たちがここに集まりました。
ここに行けば、同じような考えの仲間に会えるし、なんとなるのではないか。
そう思っていたヒッピーたちを後押しする曲として「夢のカリフォルニア」は大ヒットとなりました。
この曲が挿入されている有名な映画
私がこの曲を始めて知ったのは、香港映画の『恋する惑星』(1994)を鑑賞した時です。
映画では、この曲が何度も繰り返し流れるので、今でもこの曲を聴くと映画の映像が頭で再生されるほどです。
ほかにも最近では、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)でも、オリジナルバージョンではないですが、ホセ・フェリシアーノのカバーバージョンで曲が使われています。
『恋する惑星』(Chungking Express) (1994)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(Once Upon a Time in Hollywood) (2019)
『フォレスト・ガンプ/一期一会』(Forrest Gump) (1994)
…など。
映画ではありませんが、数年前に長崎のテーマパーク「ハウステンボス」でこの曲が流れていたのを覚えています。
今も流れているのかわかりませんが、あなたの身近なところでも使われているかもしれません。
まとめ
1965年にフォークバンドを結成し、同年に「夢のカリフォルニア」という不朽の名作を生み出した彼ら。
この曲は、何年の歳月が流れようと色褪せることなく世界を彩り続けてくれることでしょう。
寒くなってくる秋冬時期にぜひこの曲を聞いて、カリフォルニアに思いを馳せましょう。
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