【洋楽で英語学習】Adele -Rolling in the Deep-|解説

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Adele

Rolling in the Deepとは一体どんな意味なのでしょうか。

UKスラングのroll deepを元に創った言葉だと、アデルはインタビューで答えています。

roll deepの意味はいくつかありますが、一例として「誰かと深い絆で結ばれている」という意味があります。

さらに、roll deepの意味について、彼女は次のように語っています。

「roll deepは、味方でいてくれて、困ったときは助けてくれる誰かがいるということ。そのように感じています。そんな相手がいつもいてくれると思っていたけど、結局はそうなりませんでした。」

彼女を侮辱し捨てた元彼に対して、その腹いせで書いた『Rolling in the Deep』。

彼女の怒りがどのように歌詞に表れているか一緒に確認してみましょう。

解説

There’s a fire starting in my heart
Reaching a fever pitch and it’s bringing me out the dark
Finally, I can see you crystal clear
Go ahead and sell me out and I’ll lay your ship bare
See how I’ll leave with every piece of you
Don’t underestimate the things that I will do

Musixmatch

心の中に付いた火は
ピークに達し
私を暗闇から連れ出しているところ
やっとあなたがどんな人かはっきり分かった
さあどうぞ私を裏切るがいい
私はあなたのウソを晒すから
見てて ひとつ残らずあなたに責任を負わせてやる
これから私がやることを見くびらないで

【英語表現】a fever pitch: 最高潮、興奮状態

fever pitchは、「熱」という意味のfeverと「投げること、感情の強さ」という意味のpitchが組み合わさった複合名詞。

熱の中に飛び込むというイメージから「最高潮、興奮状態」という意味を想像できますね。

面白いのは、可算名詞として”a”が付いているということ。

“a fever pitch”があるなら”two fever pitches”があるのかなと勘ぐってしまいます。

状態を表す抽象的な名詞なので通常は数えられない不可算名詞のはずです。

実は、pitchは文脈によって可算名詞になったり不可算名詞になったりする名詞なのです。

具体的なfever pitchを表すときは可算名詞に、抽象的な内容のときは不可算名詞を使って、ネイティブは使い分けしているようです。

以下は、不可算名詞を使用した例文です。

例) During the game, tensions in the stadium reached fever pitch.
(試合中、スタジアム内のテンションは頂点に達した)

【英語表現】crystal clear: 明白、クリスタルのように透明な

【英語表現】sell someone out: 裏切る

【比較】揺れる歌詞問題:shitかshipか

このラインは、サイトによって表記が揺れています。

理由は[Clean version]と[Explicit version]によるものです。

2つのバージョンの違いをここでおさらいしておきましょう。

[Clean version]と[Explicit version] の違い

fuckやshitなどの表現はよく歌詞の中に出てきますが、不適切な単語とされているため、そういう単語が含まれている曲には2パターンが用意されています。

・Explicit version: explicitは「曖昧さのない、明白な」という意味で、露骨な表現が含まれます。
この歌詞の場合、I’ll lay your shit bareがこちらのバージョンです。

・Clean version: 不適切な表現を排除したバージョンです。
この歌詞の場合、I’ll lay your ship bareがこちらのバージョンです。

MVを聴いていると、shitにもshipにも聞こえるギリギリの歌い方をしています。

あなたはどちらに聞こえましたか?

あなたの持っているCDはどちらのバージョンでしたか?

ぜひこの箇所を聴きなおしてみてください。

【英語表現】lay bare: 秘密を暴露する

【和訳解説】leave with

leave withは英英辞典『The Free Dictionary』によると3つの意味があります。

1. (誰か/何か)と一緒にその場を離れる
例) I left with you.
(あなたと一緒にその場を去った)

2. (誰か/何か)に他の誰かの管理を許可する
例) I’ll leave kids with my cousin this weekend.
(今週末、子どもをいとこに預けます)

3. (誰か)に何かの責任を負わせる
例) I left this problem with you.
(この問題はあなたに任せました)

一番よく使われるleave withは1.の意味ですが、「あなたと一緒に去る」だと歌詞の流れと全く反対の意味になってしまいます。

「アデルが元恋人との思い出と一緒に去る」というような訳にしてしまうと、未練がましい印象を与えてしまいますが、ここは「復讐してやる」という文脈なので、3.の「責任を負わせる」という意味が流れにしっくりきます。

The scars of your love remind me of us
They keep me thinkin’ that we almost had it all
The scars of your love, they leave me breathless
I can’t help feeling

Musixmatch

あなたの愛がもたらした傷が
私たちの思い出を蘇らせる
この考えをずっと脳裏に焼き付ける
私たちはほぼ全てを手にしてたって
あなたの愛がもたらした傷が
私を息苦しくさせる
こう思えてならない

We could’ve had it all
(You’re gonna wish you never had met me)
Rolling in the deep
(Tears are gonna fall, rolling in the deep)
You had my heart inside of your hands
(You’re gonna wish you never had met me)
And you played it to the beat
(Tears are gonna fall, rolling in the deep)

Musixmatch

私たちは全てを手にすることができた
(出会わなければよかったとあなたは願うかも)
深淵で結ばれてた
(涙がこぼれ深淵に落ちてゆく)
私のハートはあなたの手中にあった
(出会わなければよかったとあなたは願うかも)
あなたはそれをとことん弄んだ
(涙がこぼれ深淵に落ちてゆく)

【和訳解説】played it to the beat

文字通りに訳すと「ビートに合わせて演奏した」という前後の流れを無視した意味になりますが、そうではなさそうです。

ここのitは前文のmy heart。

そしてbeatは「心臓の鼓動」という意味があるので、heartとの組み合わせとして敢えてbeatを使っていると考えられます。

beatは名詞で「打ち負かすもの」という意味もあるため、「徹底的にハートを弄んだ」というニュアンスかと思います。

対訳では、太鼓が鳴っているような、まさにビートを刻んでいるような小気味いい感じを出したくて「とことん」という日本語を使っています。

Baby, I have no story to be told
But I’ve heard one on you, now I’m gonna make your head burn
Think of me in the depths of your despair
Make a home down there, as mine sure won’t be shared

Musixmatch

ベイビー 私はそんなこと言われる筋合いはない
でもあなたの話は1つ聞いた
今から私があなたを憤慨させるってうわさをね
絶望の深淵で私のことを思うがいい
そこで家でも建てたら
もちろん一緒に住むのはご免よ

【和訳解説】to be told

「あなたに伝えたいストーリーはない」という意味ならI have no story to tellですが、歌詞はto be toldと受け身の形になっているので、和訳に工夫が必要です。

そして、どんなことを元彼に言われたのか、彼女のインタビュー記事を調べて確認しました。

“being told that my life was going to be boring and lonely and rubbish, and that I was a weak person if I didn’t stay in the relationship. I was very insulted, and wrote that as a sort of ‘f*** you,'”

The Independent

元彼にこう言われた。「君の人生は退屈で孤独でゴミになるだろう、関係を続けられないなら君は弱い人間だ」ひどく侮辱されたから、そのクソ野郎の曲を書いた。

この言葉を発端に、「Rolling in the Deep」を書いたようです。

【比較】think of/think aboutの違い

think ofとthink aboutはどちらも「~のことを考える」という意味ですが、微妙なニュアンスの違いをここでおさらいして、何となくわかる英語から使いこなせる英語にレベルアップさせましょう。

●think of: ofのコアイメージは分離。think of youは、「あなたという存在を切り取ってあなただけを考えている」という意味です。

●think about: aboutのコアイメージは周辺。think about youは、「あなたを取り巻いているあれこれを考えている」という意味です。

Throw your soul through every open door
Count your blessings to find what you look for
Turn my sorrow into treasured gold
You’ll pay me back in kind and reap just what you’ve sown

Musixmatch

片っ端からチャンスのある女性に飛び込むあなた
せいぜい探し物を見つける有難みを噛みしめたら
私は自分の悲しみを貴重なゴールドに変える
私に仕返ししてくるだろうけど
自分で蒔いた種でしょ

【和訳解説】Throw your soul through every open door

直訳すると「すべての開かれたドアにあなたの魂を投げ入れて」と、流れを無視した訳になってしまいます。実はopen doorには「誰かに機会を与える」という意味もあります。

例) Having a high TOEIC score opens the door for many opportunities.
(高得点のTOEICスコアがあると多くの機会に恵まれる)

ここでのevery open doorとは、アデルと別れた後に付き合ってくれる複数の女性のことを暗示しています。

【英語表現】count your blessings: 恵まれていると思え

「ありがたいこと(blessings)の数を数える(count)」という直訳から、不平不満を言っている人に対して、いかに恵まれているかを相手に伝えるときに使います。

【英語表現】pay someone back in kind: (人)にしっぺ返しをする

【英語表現】reap what you sow: 自分で蒔いた種

But you played it
You played it
You played it
You played it to the beat

Musixmatch

私のハートを弄んだ
弄んだ
弄んだ
私のハートをとことん弄んだ

MV比較:「Easy On Me」との違い

アデルの新曲「Easy On Me」が2021年10月15日にリリースされました。

そのMVを見ていると、今回の曲「Rolling in the Deep」と似たような構図の箇所がありました。

3:38から、椅子に座って歌っているシーンがあります。

ただ明らかに両MVには違いがあるので、ここで比較したいと思います。

MVの違い

「Rolling in the Deep」
・色味:黒、白、茶色
・髪型:髪を全部縛って、カチューシャで留めている
・服装:レースのブラックドレス
「Easy On Me」
・色味:最初は白黒(これは「Hello」とのリンク)→3:38からカラー(特に赤)
・髪型:髪を下した状態
・服装:トップスは赤のニット、ボトムスはワインレッドのロングスカート、アウターは同じくワインレッドのレザートレンチコート

「Rolling in the Deep」では、全体的に暗い色味が使われています。一方の、「Easy On Me」は白黒から赤に変わる様子が特徴的です。そして特に注目したいのが、彼女の髪型です。髪をきつく縛って、アップにしています。「Easy On Me」の髪を下ろしているラフな姿とは対照的です。髪型や色味、服装が、それぞれの歌詞にも反映されています。

まとめ

数々の賞を総なめにした曲「Rolling in the Deep」の裏側には、アデルの元彼への痛烈な怒りが込められていました。

歌詞のTurn my sorrow into treasured gold(自分の悲しみを貴重なゴールドに変える)のように、悲しみと怒りを曲づくりで昇華して成功したアデルは、アーティスト冥利に尽きるのではないでしょうか。

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