フリー・ガイ|字幕とセリフを考察してみた

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フリー・ガイ

「いい日でなく、素晴らしい日を(Don’t have a good day, have a great day!)」

映画の主人公、フリー・ガイのキャッチフレーズ(決めゼリフ)です。

『フリー・ガイ』はSFコメディ映画でありながら、マネしたくなくようなセリフが詰まっています。

個人的に好きなセリフは、ガイが何かを口にした時(コーヒーを飲んだ時、キスをした時)に言う独特の感想セリフです。笑いを誘います。

そういった秀逸なセリフは映画内で楽しんでいただくとして、この記事では映画鑑賞中に気になったセリフと字幕について考察したいと思います。

この記事は映画のネタバレを含みますので、ご注意ください。
日本語のセリフは、林 完治さんが手掛けた字幕を使用しています。

【熟考】字幕を考察してみる

まずはじめに、字幕翻訳者様および字幕を批判および攻撃する意図はないことを強調しておきます。字幕翻訳者様を尊敬しており、このパートは原文のニュアンスをより表した言い回しがないか思考するためのものです。

BUDDY: I love my life. There’s something about finding your lane and just staying in it.
得意なことをやればいい
GUY: That’s why they call ’em comfort zones, they’re so damn comfortable.
心地いい場所さ

『フリー・ガイ』

●映画の序盤、コーヒーを片手にガイとバディが歩きながら銀行へ出勤する何気ないシーン。

バディの字幕「得意なことをやればいい」が、気になりました。前後の流れを通して日本語を読むと、「得意なこと」という日本語が会話から浮いているように見えたからです。

前後の流れが、こちらです。

ガイ「史上最高のコーヒーだ」
バディ「歌を作りたい」
ガイ「その歌で踊りたいよ」
バディ「得意なことをやればいい」
ガイ「心地いい場所さ」

『フリー・ガイ』

(このセリフのあと、すぐに「心地いい場所」を皮肉るように、目の前で強盗事件が起きる)

「得意なこと」とは、前文の「歌」や「踊り」のことを指していると思われます。しかし、セリフの力点は、最高の空間に滞在している、ことにあると思います。

原文を確認してみます。バディのセリフを分解すると、このような構造になっています。
– I love my life. 自分の人生が大好きだ 
– There’s something about 何となくだけれど~(と思う[という気がする])
– finding your lane and just staying in it 自分のレーンを見つけ車線からはみ出さない
合わせると「最高の人生だ。しっくりくる場所を見つけ、そこに留まっている感覚だよ」

バディのセリフを受けてガイは「心地いい場所さ」と言っているので、話の流れ的にバディのセリフは「快適な場所」であることを表すセリフのほうが、自然だと考えます。

さらに、原文では「finding your lane and just staying in it(自分のレーンを見つけ車線からはみ出さない)」と言っていますが、今後の展開でガイは「モブキャラ」という本来のレーンから、ある事をきっかけに外れていきます。

ある事というのが、一目惚れです。

モロトフ・ガールに恋をしたガイは、彼女の後をつけて、列車のレーンを越えようとするところで、列車に轢かれます。まるで、自分の本来のレーンをはみ出すことは許されないかのように。

ガイがレーンを越えようとする映像と、バディの言った「車線(持ち場)からはみ出さない」セリフは、リンクしています。

問題のバディのセリフに戻りますが、後の映像の伏線になっているとはいえ、原文のまま「レーン/車線」という言葉を出すのは、あまりに唐突感があると感じます。

そこでおこがましくも、私が出した代案がこちらです。
「最高の人生を歩いてるな」11文字
(元の字幕が11文字なので、それ以内におさめています。)

伏線感をどうしても出すとすれば、「人生」の上に「レーンやコース」というルビをふるのも1つの手かと思います。

繰り返しになりますが、この記事は字幕翻訳者様を非難するものではありません。私含め、読者の思考を巡らすために書いたものです。我こそ妙案あり!という方は、ぜひコメントをお待ちしております。

【解説】バナナクリームとはどんな意味?

●訴訟に必要な証拠ビデオを手に入れるために、隠れ家に潜入したガイとバディ。ガイの大ファンである家主はあっさりとビデオを渡し、自分の決めゼリフを言ってほしいとガイに頼むシーン。

My viewers will just banana cream sandwich all over themselves if you say it.
(バナナクリームまみれになる)

フリー・ガイ

このセリフの後に、ガイは勘違いして「バナナクリーム大好き」と言いますが、家主が「意味が違う」とツッコみを入れています。

ガイの頭に浮かんでいるのは、文字通りのバナナとクリームが使用された、バナナクリームサンドウィッチです。

では、家主が言っているバナナクリームサンドウィッチとは、どんな意味なのでしょうか?

一般的な辞書には意味が載っていなかったので、スラングを多く載せているUrban Dictionaryで調べました。

banana sandwichのスラングとしての意味は以下のとおりです。

banana sandwich
1.The discription of a state of complete disorder.
2.Another phrase for the word crazy
“everything was just fine until the guy just go’s banana sandwich and starts yelling at the clerk”

Urban Dictionary

つまり、banana cream sandwichはgo crazy(発狂する、気が変になる)と同じような意味で使われるということです。

家主は「ガイが決めゼリフを言ってくれたら、ゲームの視聴者は発狂するよ」という意味合いで、「バナナクリームサンドウィッチ」を使っていたのです。

しかし、なぜ「バナナクリームサンドウィッチ」が「発狂する、気が変になる」の代名詞になっているのかまでは辞書に載っていませんでした。

発狂するほど英語圏の人にとって特別で美味しいスイーツなのでしょうか。それとも、2021年に最も流行ったスイーツなのでしょうか。元ネタ/由来をご存じの方は、教えてください。

流行と言えば、日本ではイタリア発症のスイーツ、マリトッツォが流行しました。流行語大賞にノミネートされるほど、「マリトッツォまみれになる」年でしたね。

最後に

本サイトでは、現在『インクレディブル・ファミリー』と『ハリー・ポッターと賢者の石』に出てくるセリフや字幕を分析しています。

知識を得たり、思考を巡らしたりする人が好きな方は、ぜひそちらの記事もお楽しみください。

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