【意味考察】Taylor Swift(テイラー・スウィフト)「Lavender Haze」

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Taylor-Swift-Lavender-Haze-Midnights Taylor Swift

Taylor Swift(テイラー・スウィフト)の通算10作目のアルバム『Midnights/ミッドナイツ』が2022年10月21日にリリースされました。

今回はそのアルバムの中から、1曲目の「Lavender Haze(ラベンダー・ヘイズ)」とはどんな曲なのか考察を含めた各パートの意味と、気になった英語表現を解説します。

ラベンダー・ヘイズは、直訳すると「ラベンダー色の霞」ですが、50年代の造語として「恋をしている状態」を表すフレーズだそうです。

この曲にはどんな思いやストーリーが隠されているのでしょうか?

気になる英語表現を取り上げながら、考察していきます。

いろんな解釈ができるのが歌詞の魅力です。一意見として、この記事が参考になりましたら幸いです。

【Verse 1:考察】適度な距離感

人付き合いにおいて、適度な距離感を保つことは重要です。

恋愛における人付き合いであれば、なおさらです。

距離が近すぎては束縛してしまう。

遠すぎては疎遠になってしまう。

その点、語り手の恋人は、恋愛の距離感を心得ているようです。

そういう風に読み取れるのが、このヴァース1です。

誰しも、理由なく気分がブルーになったり、憂鬱になったりした経験はあるのではないでしょうか。

そんな時、あなたの恋人/パートナーはどう対応していますか?

もしくは、相手がそういう状態の時、あなたはどう対応していますか?

「なんで機嫌悪いの?私(俺)が何かした?」と距離を詰めるタイプでしょうか。

それとも、機嫌が直るまで会うのを控えたり、距離を置いたりするタイプでしょうか。

相手に原因があるわけではなく、体調や天候やちょっとしたことなどで気分が落ち込んでいる時。

そんな時に、問い詰めらることも、変に深読みされることも、距離を置かれることもなく、ただただ隣にいてくれて、一緒に寝そべって天井を眺めてくれる相手だったらどんなに素敵でしょう。

このパートからは、そんな恋人の気遣いや優しさを感じ取ることができます。

もう一歩踏み込んだ考察をすると、メランコリーな気分になった時こそ、相手との相性を推し量ることができるのではないかと思います。

テイラーの感性とは異なり、相手にかまってもらいたい人もいれば、独りにしてもらいたい人もいるかと思います。

また、テイラーのように、ただ相手に側にいてもらいたい人もいるでしょう。

どれが正解ということではなく、自分の求めている距離感と相手が保つ距離感のバランスが重要です。

テイラーと恋人の距離感のバランスは、抜群だとこのラインから読み取ることができます。

【Pre-Chorus 1:英語】under scrutinyの意味

「詮索されて/監視されて」

scrutiny単体では、「情報を得るために綿密に調査すること/検査すること」という意味です。

動詞は現在完了形の「(have省略) been」なので、ずっと監視されて現在まで継続しているニュアンスが伝わってきます。

【Pre-Chorus 1:考察】適度ではない距離感

恋人の適度な距離感を描いた甘いヴァース1のあと、意外なプレコーラスの始まりに虚を突かれます。

それが、先ほどご紹介したunder scrutinyです。

「詮索されて」とは、誰にされているのでしょうか?

パパラッチ、ゴシップ誌、一般の人がアップするSNSの可能性が考えられます。

テイラーをはじめとする著名人は、SNSを通じて、いつ・どこで・誰と・何をしているのか、常に噂され詮索されています。

そんなプレコーラスの1ライン目は、ヴァース1との対比ではないかと思われます。

適度な距離感を保つ恋人と、適度な距離感を保たず分別なくズカズカとプライベートに侵入してくる人たちの対比です。

プライベートのことを共有したがらない二人に対し、メディアは執拗に追い掛け回したり、答えづらい質問を投げかけたりしています。

それでも、テイラーの恋人はそれらを華麗に受け流し、私生活を明かさない姿勢を崩していません。

テイラーは以前、俳優のトム・ヒドルストンと交際していましたが、2人の関係をオープンにしたいトムとそれをよしとしないテイラーの価値観の違いですぐに破局したと言われています。

この歌詞からは、ようやく自分の価値観と合う人と巡り会えたのではないかと感じます。

【Chorus:英語】give a damnの意味

「気にする/気にかける」

be damned ifは「絶対に~しない」という意味です。

ここは、「世間がうわさすることを気にしてたまるか」といったニュアンスではないかと思います。

【Chorus:考察】二人だけのシェルター

世間のうわさや監視の目に晒されている中、そういった類のものから自分を守るように、ラベンダー色の煙霧(ラベンダー・ヘイズ)がテイラーの周りを取り囲んでくれます。

つまり、恋をして二人だけの世界に没入することで、誰にどんな噂を流されようと徹底的に無視し、二人だけのシールドを張っているのではないかと思われます。

≪世間が私に求めていることは、1950年代のくだらないこと≫とは、どういう意味でしょうか。

これは、次のヴァース2に書かれているので、後述します。

【Verse 2:考察】女性の役割とステレオタイプ

交際期間が長ければ長いほど、メディアでは「結婚秒読みか?!」といった記事が出ます。

6年間という交際期間の長かったテイラーとジョー・アルウィンも例外ではありません。

これまで何度となくそのような記事を目の当たりにし、「すでに婚約済み」という報道まで出ていました。

でも、そういう噂ってどうでもいいことだと思いませんか?
(もちろん、本人たちが正式に公表すれば喜ばしい内容ではありますが)

なぜなら、彼女は歌手だからです。

にもかかわらず、彼女の書く歌詞の表現力のすばらしさや、楽曲の独創性や、高い歌唱力といったアーティスト性はあまり取り上げられずに、「テイラーはいつ結婚するのか?」「誰と付き合っていたのか?」といったゴシップばかり。

男性アーティストよりも、女性アーティストの方が、このような記事を書かれることが多いように感じます。

≪世間が目を向ける唯一の女の子の種類は、一夜限りの相手か妻となる相手か≫

このヴァース2に出てくる古い考え方は、コーラスにあった「1950年代のくだらないこと」につながります。

女性の役割は、その2種類だけで分けられるものでは決してありません。

しかし、そんな50年代のような古い考え方が、現代のメディアなどを通してあまりに自然に取り上げているばかりに、その異常さが現在でもまかり通っているのも事実です。

【Pre-Chorus 2:考察】過去は過去、今は今

歌詞というものは、アーティストの実体験や価値観をもとにして書かれているものが多いです。

実体験を歌詞にのせること自体はごく自然なことですが、それをネタにされ、ゴシップ誌にたびたび標的にされているのが、テイラーです。

この曲は誰との確執を描いた曲だとか、過去の恋愛遍歴を持ち出されこの曲は誰と付き合っていた時の曲だとか、本人も眩暈がするような記事ばかり。

それでも恋人は我関せずのスタンスで、過去のテイラーのヒストリーをシャットアウトして、テイラーとの「いま」を生きている様子が感じられるのがこのプレコーラスの特徴です。

【Bridge:英語】get it off one’s deskの意味

「机からものを取り除く/仕事を終わらせる」

海外ドラマや洋画で、デスク上に置いてあるものをワシャーっと手で払い落すシーンを観たことはありませんか?

そのイメージです。

それが文字通りの意味、「机からものを取り除く」です。

ビジネスシーンでは「仕事を終わらせる」といったニュアンスで使われています。

この二つの意味をどちらで捉えるかによって、解釈が変わってきます。

続きは、考察パートで。

【Bridge:考察】ダブルミーニング?

このブリッジ部分では、二つの意味合いを含んでいるのではないかと感じています。

同じ歌詞が二回繰り返されていることにも意味がありそうです。

ブリッジ前半部の歌詞は、世間のウワサや拡散を無視して、ラベンダーヘイズの中、つまり二人が生み出す空間を大事に他の外野は気にしない姿勢が描かれています。

解釈が難しいのは、歌詞の後半部分です。

get ~ off one’s chest」は、「胸の内に留めておいた悩みや不安などを打ち明ける」という意味のイディオムです。直訳は、「胸に乗っているものをどかす」です。

そして、「get it off one’s desk」は二通りの意味(机からものを取り除く/仕事を終わらせる)があることを前述しました。

以上を踏まえて、ここは二通りの解釈ができます。

【解釈その1】言わせておけ

「get it off one’s desk」を「仕事を終わらせる」の意味で捉えると、次のような意味になります。

≪あなたの胸の内を吐き出して/私の仕事(デスク)から消して≫

つまり、この部分の“You(あなた)”は「世間の人」を指しており、「言いたいやつには言わせておけ、私はもう相手にしないから」といったニュアンスで歌っているのではないかと思います。

【解釈その2】文字通りの直訳

get ~ off one’s chest」と「get it off one’s desk」を文字通りの意味で捉えると、次のような意味になります。

≪あなたの胸にあるものをどかして/私の机から物をどけて≫

つまり、この部分の“You(あなた)”は「恋人」を指しており、「あなたの胸に乗っているもの、すなわち、服をぬいで」と受け取ることもできます。

海外ドラマや洋画で、デスク上に置いてあるものをワシャーっと手で払い落すシーンを観たことはありませんか?

相手との関係が燃え上がって、デスクの上でいちゃつくために物をどかすイメージです。

面白いのは、男女の役割が逆転しているということ。

よく観るシーンでは、女性が服を脱ぎ、男性がデスクの上の物をどかしています。

それがこの歌詞では、立場が逆になっています。

これは、ヴァース2で考察した「女性の役割とステレオタイプ」の逆をやっているわけです。

MVで確認してみると、2回繰り返されるブリッジパートのうち、「get it off your chest」部分の1回目は「周りの人々」が映され、2回目は「テイラーと恋人の親密な様子」が映されています。

以上のことから、2つの解釈ができるのではないかと思います。

まとめ

「Lavender Haze(ラベンダー・ヘイズ)」は、マスコミや世間の無神経な監視の目を取り上げつつ、パートナーのさりげない気遣いや優しさで心があたたかくなる曲でした。

ジェンダーロールとステレオタイプについても触れている、社会的メッセージ性も込められた作品です。

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