back up in the buildingの意味は?|Lizzo「About Damn Time」より

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まだコロナウィルスが存在する前の2019年4月19日のこと。

リゾ(Lizzo)のサードアルバム『Cuz I Love You』がリリースされました。

あれから3年。

コロナウィルスの感染状況が下火になり我々がニューノーマルな生活に慣れてきた頃合いに、ようやく彼女が戻ってきました。

彼女の時間です。バッド・ビッチ・タイム(※新曲の引用)の幕開けです。

先日、2022年4月14日に新曲「About Damn Time(アバウト・ダム・タイム)」がリリースされました。

そして同曲が収録される予定のニューアルバム『SPECIAL』も2022年7月15日にリリース予定であります。

夏のアルバムリリースを心待ちにしながら、この記事では新曲「About Damn Time」に出てくる、英語表現を分析したいと思います。

その表現とは「back up in the building」です。こちらはVerse 1に登場します。

すべて中学英語で習う単語の組み合わせですが、辞書の言葉をそのまま日本語に置き換えればOKというものではありません。

なぜなら、そのまま置き換えても意味が全く通じないからです。

それなら、慣用表現かスラングの類だろうと思うことでしょう。

しかし、スラングや慣用表現をまとめているサイトで”back up in the building”を検索してもヒットしません。

だからこそ、この記事で取り上げてみたいと思います。

【考察】back up in the buildingの意味とは?

先に結論を申し上げると、この表現の意味は「戻ってくる」「復活する」「再開する」といった意味だと思われます。

歌詞で使われている以外の例文があまりなく、ネイティブに確認を取ったわけではないので100%正しいとは言い切れませんが、私なりに根拠はあります。

根拠1:辞書の意味を当てはめても文脈的におかしい。文法的におかしい。

根拠2:「back in the building」からの派生を考える。

根拠3:スラング「in the building」からの派生を考える。

根拠4:「back up in the building」の実例から考える。

順を追って、説明します。

【文法】から予測する

「バックアップ」という言葉は、英語に不慣れな方でも聞いたことがると思います。

「データのバックアップ(複製/コピー)を取る」「立候補者をバックアップ(援助)する」といった表現は日本でもよく聞きますよね。

英語の句動詞「back up」も、おおむね同じような意味を持ちます。

例: I have to back up all files at regular intervals.
(定期的にファイルのバックアップを取らなきゃならない)

例: My family always back me up.
(家族はいつも私を支えてくれます)

ただ、backとupが仲良く並んでいるからといって句動詞「back up」の意味だと決めつけるのは早計です。

というのも、今回の歌詞にはすでに動詞があるからです。「is」です。

主語が「everybody」で動詞は「is」。それが疑問形になっている状態です。

では、backとupは何でしょうか。

backは、名詞、形容詞、副詞のそれぞれ意味がありますが、文脈から考えて副詞「(元の場所に)戻って、帰って」が適切かと思います。
(ちなみに、名詞だと「背中」、形容詞だと「背部の」の意味です。)

ここまでを整理して、歌詞を訳すと「みんなは元の場所に戻った?」という意味です。

では、upは何でしょうか。

upと聞いて、まず浮かぶ意味は「上へ」ですよね。

ただ、これも辞書の意味のまま解釈しても、ちんぷんかんぷんです。

ここのupは、強調の「up」だと考えられます。

たとえば、cleanとclean upのようなものです。

cleanもclean upも「掃除をする」という意味で共通しており、upがない状態、つまりcleanだけでも問題なく意味は通ります。

しかし、upを付けることで「掃除する」の意味を強調し、「“徹底的に”掃除する」というニュアンスが出ます。

ただ、今回のように副詞「back」を強めるupは初めて拝見しました。

後述しますが、”back up in the building”は歌詞以外で使われている実例を見つけるのは困難でした。

逆に言うと、upのない状態、つまり”back in the building”は多くの実用例を発見したのです。

【比較】”back up in the building”と”back in the building”

この表現を分析していて、一つ気付いたことがあります。

それは、この表現は主に黒人歌手が使っているということ。

歌詞掲載サイトGeniusにて”back up in the building”を検索すると、この表現を使っているアーティストは黒人ラッパーが大部分を占めていました。

ひとまず”back up in the building”は、ラッパーの方が使うような独特な言い回しではないかと仮説を立ててみます。

では、独特な使い方ではない、一般的な使い方は何でしょうか。

そこで登場するのが、upを抜いた表現、”back in the building”です。

“back in the building”がよく使われているシーンを2つご紹介します。

背景:ケガで活動休止していた野球選手が、ようやく復帰できるようになった場面にて。
例:The famous baseball player XXX was back in the building.
(誰もが知るあの野球選手XXが、活動を再開した)

背景:コロナ禍でしばらく運営を自粛していた教会が、ようやく礼拝や集会といった宗教活動を再開する場面にて。
Chuch is back in the building!
(教会が活動を再開!)

上記の2つの例のように、スポーツやアフターコロナの世界で、人や活動が戻ってくるシーンで主に使われています。

in the buildingを文字通りの意味、つまり「ビルの中」しか知らない方はぜひ次の項目をご確認ください。

【発展】スラング「in the building/in the house」の意味

「インザビルディング(in the building)」や「インザハウス(in the house)」の意味をご存じですか?

ラップやヒップホップに精通している方なら、ご存じかもしれません。

この表現の前に名前を入れて、「〇〇、参上」「〇〇、ここにあり!」といった意味のスラングです。

この表現を知っている方なら、今回取り上げた”back (up) in the building”の意味も、この記事を読まずしてピンと来ていることでしょう。

“in the building”の前に”back (up)”が加えられた表現だと捉えれば、「戻ってきた」「復活した」という意味にたどり着くはずです。

【実例】から考える

歌詞以外で、この表現が使われている例文がほとんどなかったと申し上げましたが、Twitterで1件ヒットしました。

それは、コメディアンや女優として活躍するアマンダ・シールズ(Amanda Seales)のツイート。

しかも、ツイートだけでなく、動画も一緒にアップしています。

どんな動画かというと、彼女が出演している『Insecure(インセキュア)』という海外ドラマのシーズン4が始まり、そのエピソード1を自宅のテレビで観ている映像です。

彼女が演じているキャラクターがテレビに映ったところで、彼女は「Back up in the building!」と叫んでいます。

「(このドラマに)戻ってきた」というような意味合いで使っているものと思われます。

動画が気になる方は、ぜひTwitterで検索してみてください。

さいごに

この曲のMVは、とある支援グループの集会にリゾが参加しているシーンから始まります。

このシーンから、感慨深いものを感じました。

人々は、外に繰り出し、集会に足を運んでいるのです。

人けのない駅のホームや、活気を失ったショッピングモール、閑散とした集会場や教会やカフェ。

どこもかしこも規制が入り閉鎖されていた最悪の状態を乗り越え、人々は元いた場所に戻ってきたのです。

それが、”back up in the building”に込められた意味だと思います。

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