【ジョジョと洋楽】プリンス-ゴールド・エクスペリエンス-元ネタと考察

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Prince-gold-experience #ジョジョ
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【結論】
  • 【元ネタ】
    ゴールドエクスペリエンスの元ネタは、アメリカの歌手プリンスのアルバム名『ザ・ゴールド・エクスペリエンス』に由来する
  • 【アルバム】
    テーマは、「自己表現」「自由への探求」など
  • 【収録曲とジョジョの関係性】
    – 1曲目「P Control」の曲調が、アニメ版のギャングダンスのシーンに盛り込まれている
    – 18曲目「Gold」の歌詞の意味は、“人生の岐路に立った人へ捧ぐ、正しい決断をするための人生哲学”ではないかと思う
    – 当時のプリンスの奮闘とジョルノ・ジョバァーナの生き様はリンクしている

ジョジョの奇妙な冒険5部の主人公ジョルノ・ジョバァーナのスタンドといえば、生命を与える能力をもつ「ゴールド・エクスペリエンス」です。

その元ネタは、プリンスのアルバム名『The Gold Experience』に由来しています。

そして、そのアルバムには「Gold」という曲も存在します。

ジョジョの元ネタになったアルバム『The Gold Experience』のテーマは何なのでしょうか?

「Gold」には、どんなストーリーや意味が込められているのでしょうか?

この記事で元ネタとなったアルバムや曲について考察します。

いろんな解釈ができるのが歌詞の魅力です。一意見として、この記事が参考になりましたら幸いです。

【概要】17th AL『The Gold Experience』

1995年9月26日。

プリンスがアルバム『The Gold Experience』をリリースしました。
(※当時は男性(♂)と女性(♀)を組み合わせた発音できないシンボルマークへ改名して活動していたため正しい表記は「プリンス」ではありませんが、わかりやすさを重視して「プリンス」で統一しています)

それからわずか約2カ月後、1995年11月20日。

荒木飛呂彦先生の『ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風』の連載が始まりました。

その主人公ジョルノ・ジョバァーナのスタンド名が「ゴールド・エクスペリエンス」です。

このアルバムに影響を受けて名前を取ったことは否定できないでしょう。

ではこのアルバム、「黄金体験」のテーマは何でしょうか?

ロボット声の女性ナレーターが、どんな「体験」なのかを曲の間にご丁寧に説明してくれています。

まとめると、「求愛、性、献身、フェチ、孤独、潔白、愛、憎しみ、ダンス、自尊心の向上」です。

このようにアルバムのテーマはひと言では言い表せません。

しかし、レーベル側の制約と自由な自己表現の間に生まれた葛藤が土台としてあり、「自己表現」「自由への探求」が感じられるアルバムです。

【考察】「Gold」の歌詞の意味

プリンスの17枚目のアルバム『The Gold Experience』の最後を飾る曲が、「Gold」です。

それぞれのパートにはどんな意味が込められているのか、考察してみます。

【Verse 1】登る山を間違えるな

最初のヴァースは、「山」と「丘」の対比表現が特徴的です。

「山」のほうは、無茶(空を飛ぶ)をしない限りは頂上が見えないほど壮大な「山」。

一方で「丘」のほうは、実績があって確実。

「丘」というよりかは、モグラが穴を掘ってできた小さな土の盛り上がりほどの高さしかありません。

そして”molehill”には、「モグラ塚」以外に「些細なこと、くだらないこと」といった意味もあります。

目の前に2つの対照的な「山」と「丘」があって、あなたはどちらに上るか選択を迫られているようなイメージが浮かんでくる歌詞です。

【Chorus】見た目に騙されるな

コーラスの前半部分は、歌詞の流れから、ヴァース1の「丘」のことを言い換えているのではないかと思われます。

どんな結果が待ち受けているかわからないものよりも、すでに売れているものや語られているもの、つまり、実績があって確実な安牌を選びたがるのが、人の常でないでしょうか。

しかしその安牌というのは、モグラ塚ほどの小山でしかありません。

登る山の高さからして、得られる経験値はほんのわずかです。

だからこそ、先がわからなくても、頂上の見えないほどの山に登る必要性を説いているのだと思います。

型にはまった伝統的なやり方に倣うよりも、それをぶち壊してでも、自分の道を突き進むことに意味があるということを言いたいのかもしれません。

そして、コーラスの後半では、重要なことわざを引用しています。

輝くもの必ずしも金ならず(All that glitters is not gold.)

チョーサーの『カンタベリー物語』とシェイクスピアの『ヴェニスの商人』に登場する言葉です。

見た目が魅力的に見えても、中身まで魅力的であるとは限らないという意味です。

この言葉は、当時のプリンスの状況の真意を突いています。

プリンスは、このアルバムリリースの2年前、1993年にワーナー・ブラザーズと再契約を交わします。

契約内容はアルバム6枚分の長期契約で、契約金は当時の最高額でなんと1億ドルでした。

業界最大手のワーナー・ブラザーズとの契約。

そしてと莫大な契約金。

どちらも誰もが欲しがる「輝くもの」です。

しかし、この契約が発端で、プリンスは音楽活動の一切合切をワーナーにコントロールされ、自由な活動ができなくなってしまいます。

不満がピークに達したプリンスは、ワーナーが商標登録した「プリンス」という名前を捨て、男性(♂)と女性(♀)を組み合わせたシンボルマークへ改名するという、驚きの行動に出ました。

さらに、「Gold」のMVを観ていただけるとわかりますが、頬に「SLAVE(奴隷)」という文字を書いてパフォーマンスするようになったのです。

表面上の「輝くもの」を手にして大火傷をしたプリンスだからこそ、「輝くもの必ずしも金ならず(All that glitters is not gold.)」の部分に、言葉の重みを感じます。

【Verse 2】不幸に甘んじるな

ヴァース2は、絶望の海にどっぷりと浸かり、来る日も来る日も不幸なままでいる人たちのことが綴られています。

このパートで言いたいことは何なのでしょうか。

不幸に甘んじてはいけない、ということではないかと思います。

愚痴はこぼすし、自身の不幸話を自慢げに語るのに、現状を変えようともせずに不幸に甘んじている人は世の中にいます。

そのような人は、不幸な状態、つまり、地獄にいても心地よさすら感じて、そこに定住してしまうわけです。

幸せになる第一歩には、それなりの覚悟が必要。

だから、不幸に満足してはいけないことをこのパートで説いているのではと思います。

【Verse 3】人の幸せを邪魔するな

ヴァース3は、ヴァース2とは対照的なパートです。

99歳の女性が登場し、その女性が良い人生を送ったならば天国に召される。

そして、その考えを理解したくない人たちは、脇に避けて天国に行きたい人たちに道を空けなさい、と綴られています。

理解したくない人というのは、文脈上、ヴァース2の「不幸な人たち」のことの言い換えではないかと思われます。

このパートで伝えたいことは、人の幸福を邪魔してはいけない、と解釈しました。

自分と他人の幸不幸はまったく関係がないのに、「自分が不幸なら他人も不幸になれ」マインドで、他の人の人生を妨害しようとする人のことを仄めかしているように思えます。

【総括および補足】

歌詞の解釈や考察は人によってバラバラだと思いますが、私が思う「Gold」の歌詞の意味は、“人生の岐路に立った人へ捧ぐ、正しい決断をするための人生哲学”です。

実際、プリンスは、ワーナーとの契約という大きな枷を負いながらも、この曲およびアルバムをリリースしました。

自分の名前を一旦捨てて活動するというのは、プリンスにって大きな人生の岐路だったに違いありません。

ヴァース2で「不幸な人たち」が出てきましたが、これは文字どおりの意味ではなく、誰しも心の中にあるネガティブな部分のことではないかと思います。

ワーナーに自由を奪われて、自分はなんて不幸なんだ。

なんで自分が、こんな目に…。

誰しも心の中のネガティブな感情に身を任せて、「不幸な自分でいる」ことは容易にできます。

しかし、プリンスは不幸に甘んじることなく、ワーナーに屈することもなく、大事な自身の名前を捨ててでも、自己表現することを諦めずに、幸せになる努力をしていたのです。

そんな彼の生き様こそが真のゴールドであり、荒木先生はその芯の強さとカリスマ性をジョルノ・ジョバァーナにも反映させたのではないかと思います。

さいごに

レーベルとの厄介なしがらみから自分を解放するために行った改名行為。

そしてアルバム『ザ・ゴールド・エクスペリエンス』は改名後初のアルバムとなりました。

そんなアルバムは、プリンスにとって新たな自分という新しい生命を生み出した証なのかもしれません。

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