今回ご紹介する曲は2020年7月21日にリリースされたシルヴァン・エッソの「Ferris Wheel」です。
タイトルの”ferris wheel”は「観覧車」という意味です。
では、この曲で、観覧車は何を意味しているのでしょうか。自分なりに解釈してみたいと思います。
「歌詞の意味を理解したい」「自分で和訳してみたけど分からなかった」という方の参考になれば、幸いです。
解釈
Verse 1
舞台は、街路が汗をかくほどの灼熱の8月。
登場人物は、「あなた(you)」と「私(I)」。「あなた」は「私」に気があるということを「私」視点で語られていますが、「あなた」側の真意はどうでしょうか?
恋愛の曲かと思わせる始まりです。
余談ですが、歌詞に出てくるtilt-a-whirlは、定まった日本語の意味はありません。これは、傾いている床に乗り物が設置され、床ごとグルグル回るアトラクションのことです。
Pre-Chorus
白T姿の「あなた」を毎日見てきた「私」。一方的な、「私」側のストーカーとも取れる行為に笑ってしまう歌詞です。
最初のVerse 1もそうですが、このPre-Chorusも、「私」視点に徹しています。
「ずっと観察してきた「あなた」は至って健康そう。だったら何を待つ必要があるの?」
相思相愛である「あなた」と「私」ですが、なぜか「私」は上から目線の物言いです。いつまでも待ってないで、行動しなさいよと、お尻を叩いているような歌詞です。
Chorus
「私」が身をもって行動で何かを証明しようとしているコーラス。
灼熱のアスファルトの上をダンスシューズを履いて、膝はアザだらけになりながらジタバタ暴れているイメージが浮かびます。
「私がこれだけ証明して見せたのよ。あなたも待ちきれないわよね?」「きっと今夜はうまくやれる」と「あなた」を鼓舞しているのです。
歌詞に出てくる「成人のような後光/黄泉の国のゴスな雰囲気」とは何を指すのでしょうか?
ここはおそらく、夜のライトアップされている観覧車のことを暗示しているかと思います。放射状に広がる明かりの前に立てば、後光が指しているように見えます。聖人のように見えますが、聖人が放つ後光とは違います。外の暗さとケバケバしい電飾により、黄泉の国のゴスなオーラに見えるのです。
Verse 2
観覧車へ連れてってと駄々をこねる「私」。
なぜ観覧車にこだわるかというと、「私」が渇望しているものが、そよ風だとこの歌詞パートで分かります。2人で観覧車に乗り、高くまで登ってゆけば、感じるのは塩辛い夜風。
頂上まで上がり夜風に当たるということは、頭を冷やすということを示唆しているのかもしれません。
まとめ
最初は恋愛ソングだと思っていたのですが、「私」が「あなた」を鼓舞したり、2人で観覧車に乗ったりと、どう解釈したらよいか正直分かりませんでした。
そこで、アメリアのインタビューを調べました。
この曲は、自分のパワーを発見し、ぎこちなくでも扱い方を理解することについて書かれた曲だとアメリアは語っています。
彼女のインタビューを踏まえたうえで、改めて考えをめぐらすと、歌詞に出てくるYouとIは、同一人物なのかもしれません。
自分の気づいていないパワーや才能といったものをYouで表し、客観視して鼓舞している自分をIと捉えることができます。
では、観覧車は何を指すのでしょうか?
グルグルと回る観覧車(“Ferris Wheel”)のように、グルグルと思考を巡らすこと、つまり観覧車で思考のグルグルを表している曲ではないかと思います。
自分と毎日向き合うことで自分隠れた才能やパワーに気づき、その力をいかにコントロールするか悪戦苦闘しながらも強さを証明していく。
そして観覧車の一番上に上がれば、夜風が悩みや迷いといったものを吹き飛ばしてくる。
この歌詞からはそんなストーリー性を感じました。
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