【歌詞の意味考察】Lorde(ロード)-Man Of The Year-

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lorde-Man Of The Year Lorde

Lorde(ロード)の2025年5月29日に解禁された新曲「マン・オブ・ザ・イヤー(Man Of The Year)」にはどんなストーリーが込められているのか、この記事で考察します。

「Man Of The Year」の意味と疑問

「Man Of The Year」の意味は、「今年の顔」です。

その年に活躍した人や功労者を讃える際に使われる、ある種の称号のことです。

最近ではジェンダーニュートラルの観点から、「man」ではなく「person」を用いた「Person Of The Year」が使わる傾向にあります。

しかし、今回のロードの曲名は、「Man Of The Year」。

もし意図して「Man」を使っているのだとしたら、マン・オブ・ザ・イヤーとは誰のことを指すのでしょうか?

元彼?

私は「ロード」のことを指しているのではないかと思います。

「Man Of The Year=ロード」と仮定するならば、「Woman Of The Year」であるはずでは?と思うかもしれません。

ロードは直近のインタビューで、「避妊を止めたことで、自分と女性らしさとの間にあったある種の紐(cord)を切ったような感じがした。女性らしさという枠から外れた気がする」と答えています。

女性らしさという枠から外れたロードの姿は、ダクトテープで胸を覆ったビジュアルからも伝わってきます。

女性であることという枠から外れて、男性的な面の自分も受け入れる。

そんな生まれ変わった自分を「Man Of The Year」で表しているのではないかと思います。

【歌詞の意味考察】「Man Of The Year」

[Verse 1] 悟りと生まれ変わり

曲の冒頭は、既視感のある描写から始まります。

それもそのはず。

“自転車で滑り抜ける”ロードの姿は、同アルバム収録の「What Was That」のMVに出てきます。

そして、“自我(エゴ)の死”から気づきを得るわけです。

自我の死とは、悟りを開く感覚に近いものです。

「悟りを開くとはどういうこと?」と思っている方は、エックハルト・トール著の『Power Of Now』をオススメします。

上の関連記事で解説していますが、自転車を漕ぐという行為は「今に生きる」ということで、エゴから脱却し悟りの境地にあることが感じ取れます。

エゴからの脱却を描いている映画、それが『ファイトクラブ(fight club)』。

※注意:ここから、映画のネタバレを含みます。

映画の主人公は保険会社に勤め、何不自由ない生活を送っている成功者のような男性です。

しかし、彼は消費社会によって構築された自分(エゴ)の役割を演じているようで、不眠症で悩まされています。

そこにエゴの破壊者、ブラピ演じるテイラーが登場。

主人公のエゴをあぶり出し、肉体的にも精神的にもエゴを破壊していきます。

ちなみに英語でもう一つの人格のことを、オルター・エゴ(Alter Ego)と言います。

Alterは「変える」、Egoは「自身」。

『ファイト・クラブ』にもロードのこの曲にも言えることですが、自分を変えるには、もう一つの人格が必要なのかもしれません。

話が逸れましたが物語の終盤、彼は崩れゆく景色の前で、恋人に“人生で本当に奇妙な時に君は僕に会った”と言います。(この曲で引用されている部分)

彼はかつて、恋人のことを“腫瘍のような女”と毛嫌いしていました。

この女性は、“腫瘍”という言葉のとおり、彼の嫌な部分(エゴ)を擬人化したような存在です。

そんな合わせ鏡のような恋人と最後に和解します。

歌詞に話を戻しましょう。

ロードも『ファイト・クラブ』の主人公のように、自分のエゴを徹底的に破壊し、エゴを認め、新たな自分に生まれ変わったのではないでしょうか。

その証拠に、このパートの後半では“ナイフを取って、コードを切る”という表現があります。

“コード”は、「Man Of The Year」の意味で説明した「女性という枠組みの紐」とも解釈できますし、“My babe”との連想から「へその緒(赤ちゃんは新しい自分のこと)」という解釈もできます。

どちらの解釈にせよ、このパートは悟りを開くことでエゴを超越し、新しい自分に生まれ変わったことを説いているのではないかと推察します。

  • glide through:滑り抜ける
  • ego death:自我の死、スピリチュアルや哲学で使われる用語

[Chorus] 生まれたて

生まれたての赤ちゃんを抱いたことはありますか?

骨が柔らかく、ふにゃふにゃで、もろくて、壊れてしまいそうで、潰れてしまいそうで、繊細。

コーラスパートは、そんな生まれたての赤ちゃんのようです。

コード切って新しく生まれ変わったロードの繊細な部分や愛情を欲する部分が表れていると感じます。

[Verse 2] 男性的な面

ヴァース1では生まれ変わりを暗示し、コーラスでは生まれたてを表現しているのではないかと考察しました。

ヴァース2は、なんてことはない日常が描かれているように思えます。

マウスウォッシュしたり、夜更かしして、遅く目覚めたり。

このパートが意味するのは何なのでしょうか。

前パートとの文脈から察するに、新しい自分の日常を切り取っているのではないかと思います。

つまり、このパートはロードの中にある男性的な面を具体的に表現していると受け取れます。

[Outro] 今年の男

“彼が現れるとは思ってもいなかった”と歌う部分が印象的なアウトロは、自分の男性的な面を意外に思っていることが窺えます。

しかし、それを否定するのではなく、自分の一面として受容し、拍手を送って祝福しています。

  • Let’s hear it for ~: ~に拍手を送る

さいごに:MV考察

床土の上で踊り狂い、もがき、転がりまわるロードの姿は、女性らしさとか男性らしさとかジェンダーの枠やら定義やらを一切取っ払ったような清々しさがあります。

それと同時に、表情はもろくて壊れそうで繊細で、まだ新しい自分に体が馴染んでいないような感じもします。

でも最後の最後で、ロードは寝返りを打ちます。

寝返りは、成長の証。

新しい自分を享受したロードの活躍が楽しみです。


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