ウェット・レッグ(Wet Leg)の勢いが止まらない。
コロナウィルスが世界で猛威を振るいはじめた2019年、ウィルスに負けないほどの勢いで、いや、それ以上の、人を楽しませるうれしい感染力を持った女性デュオが誕生した。
それが、メインボーカルのリアン(Rhian Teasdale)とサブボーカルのへスター(Hester Chambers)からなるウェット・レッグだ。
二人は、車を走らせて半日もあればグルっと一周できるほどの小さなイギリスの離島、ワイト島の大学で出会い、長らく交友を続けていた末に、2019年にデュオを結成した。
2021年にリリースされた記念すべきファーストシングル「Chaise Longue(シェーズ・ロング)」は、業界人や音楽好きの耳に留まり、着実に知名度を広めていった。
そんな彼女たちの人気は、いまや故郷ワイト島もイギリス本土もゆうに越え、世界各地でライヴ活動を行うほど、わずか3年足らずでワールドワイドに広まっている。
ちなみに、2023年に初となるジャパンツアーの東京公演は、すでにソールドアウト。
世界中にファンを抱えるまでに至った彼女たちの魅力は何でしょうか?
脳裏に残り、ループ再生したくなるほどのキャッチーなメロディー?
時代に流されない、独自のスタイルや感性を持ったビジュアルセンス?
それらもさることながら、聴き手の想像力をいろんな意味で豊かにしてくれる独特でユーモアあふれる歌詞も、魅力の一つとして外せません。
この記事では、「Chaise Longue」の中から3つの英語表現の隠された意味をご紹介します。
big D(ビッグ・ディー)に込められた意味とは?
ヴァース1に登場するbig Dには、いくつか意味があります。
歌詞の流れから考えると、主に2つの意味が当てはまります。
1つは、直前の歌詞に出てくるDegree(学位)のことを「D」で表しています。
冒頭の「パパ、ママ、私を見て/大学に行って学位を取ったの」という前置きから、「友だちはみんな、それを意義のある学位(big D)だと呼んでる」と、至って自然な流れに思えます。
しかし、この歌詞はbig Dの別の意味、つまりD〇〇k(男性のアソコ)のことを「D」で表していると捉えることもできるのです。
この後に続く歌詞では「ビッグ・ディーを手に入れた」と歌っていますが、あなたならどう解釈しますか?
一人称の≪I(私)≫は男性なのか女性なのかは、ヴァース1だけでは判断できませんが、一人称を女性と捉えるなら「大学に行って学位も取って、ナニが大きい男も手に入れた」と捉えることができます。
男性と捉えるなら「大学に行って学位も取って(人として成長し)、ナニも成長した」と捉えることができます。
maffin(マフィン)に込められた意味とは?
リンジー・ローハンが主演を務めた2014年の映画「ミーン・ガールズ(原題:Mean Girls)」を観たことはありますか?
10代や女子ならではの悩みやスクールカーストに焦点を当てた学園コメディー映画なのですが、映画内のセリフの一部がヴァース2で引用されています。
映画ではどんなシーンで使われているかというと、ランチタイムに1人の男子生徒がリンジー・ローハン演じる転校生のケイディに声をかけて冷やかすシーンです。
まず男子生徒が「お昼に新入生アンケートをやってるんだけど、いくつか質問に答えてくれる?」とケイディに声をかけ「OK」と答えるケイディに、こう言うのです。
「君のマフィンにバターは塗られてる?(Is your muffin buttered?)/誰か塗ってくれるヤツ、紹介しようか?(Would you like me to assign someone to butter your muffin?)」と。
マフィンと聞いて、フワフワで甘い焼き菓子をまず想像する方がほとんどだと思います。
ランチタイムに質問してくるという状況を踏まえ、文字通りの意味に捉えても何ら不思議ではない表現です。
しかし、マフィンはそれとは別に「女性のアソコ」を遠回しに表現するときにも使われる単語なのです。
そしてこの文脈でのバターは、男性の〇液を指します。
つまり、この男子学生のセリフは、失礼にも「セックス相手がいる?」と婉曲的に聞いているわけです。
もしくは、映画内でヴァージンの話が出るシーンがあり、多感な10代がしそうな会話ということも考慮に入れて「処女は卒業してる?」と遠回しに聞いているとも解釈できます。
horizontalに込められた意味とは?
曲名になっている「Chaise Longue(シェーズ・ロング)」は、ソファーの一種でフランス語で「長椅子」を意味します。
背もたれに対して座面が長いことが特徴のこのソファーは、「座る(sit down)」よりも「横になる(be horizontal)」という動作表現がしっくりきます。
歌詞でも、まさにそのことが触れられていますね。
「≪君≫は下着姿でシェーズ・ロングに座って何してるの?いますぐ横にならなきゃ」
この文字通りの意味の下には、夜のお誘いが隠れています。
さいごに
この曲の歌詞は、メインボーカルのリアンによって書かれたものです。
しかし、「(≪私≫は)大きなナニを手に入れた」や「≪君≫のマフィンにバターは塗られているかい?」などのヒントから、歌詞に出てくる一人称の≪私(I)≫は男性、二人称の≪君(You)≫は女性と捉えるほうが自然に思えます。
もしかするとリアンが意図的に男性目線で書いたのかもしれません。
この曲を男性が歌ったら、曲の意味も相まって盛り上がるだろうと思っていた矢先、ハリー・スタイルズ(Harry Styles)がウェット・レッグの別の曲「Wet Dream」のカヴァーを英音楽チャンネルで披露していました。
ハリーには、「Chaise Longue」も歌ってもらいたいところです。
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