高校生のときに書いたとは思えない地に足のついた歌詞。
この記事では、ロードが16歳の時にたった30分で作詞し2013年6月3日にリリースした「Royals」から、英語表現やイディオム、日本ではあまり馴染みのない海外の教養をご紹介します。
「歌詞の意味を理解したい」「自分で和訳したい」と思っている方に向けて書いた記事ですので、参考としてお役立てていただければ幸いです。
- この曲はこんなに人にオススメ
- 歌詞の英語表現を解説
- 【英語表現】in the fleshの意味は?
- 【英語表現】cut someone’s teeth onの意味は?
- 【英語表現】torn-upの意味は?
- 【教養】Grey Gooseとは?
- 【英語表現】trippinの意味は?
- 【英語表現】ball gownの意味は?
- 【英語表現】trashinの動詞の意味は?
- 【教養】Cadillacsとは?
- 【教養】Maybachとは?
- 【英単語】timepieceとは?watch,clockとの使い分け
- 【英単語】leashの意味は?
- 【英語表現】be caught up inの意味は?
- 【英語表現】love affairの意味は?
- 【英単語】buzzの意味は?
- 【英語表現】crack the codeの意味は?
- 【英語表現】fine with thisの意味は?
- 【英語表現】come from moneyの意味は?
- MV(ミュージックビデオ)について
- さいごに
この曲はこんなに人にオススメ
歌詞にしろ、ミュージックビデオにしろ、ゴージャスな装飾が施され、目がチカチカするような派手なコンテンツが世の中には数多く溢れています。
有名人でもセレブでもない一般庶民からすると、非日常感があり、それはそれで楽しめるのですが、コッテコテの濃厚とんこつラーメンのように、すぐにお腹いっぱいになります。
そんな曲はもうたくさん。
だって、贅沢なものに囲まれた生活ができるのは、セレブや成功を収めた人だけ。
そんなお金がちらつく曲を聴いても動画を視聴しても、全然共感できません。
そう思っている方は、ぜひこの曲を聴いてください。
ニュージーランドの大自然に囲まれて育ったロードが書いた等身大の歌詞は、煌びやかな生活を送っているアーティスト側ではなく、ありふれた日常に生きている私たち側に寄り添ってくれます。
物質主義なんかクソくらえ、という方はとくに共感できる歌詞です。
歌詞の英語表現を解説
【英語表現】in the fleshの意味は?
「実物で」
“flesh”は「肉」や「表皮」といった意味で、”flesh and blood”で「生身の人間」を表します。
例) I’ve never seen a prime minister in the flesh.
(首相を実物で見たことはない)
【英語表現】cut someone’s teeth onの意味は?
「経験を得る」
直訳すると「人の歯をカットする」です。
なぜそれが「経験を得る」という意味になるのでしょうか?
実はこの表現には元々「歯が生える」という意味があります。
赤ちゃんの歯茎から初めて乳歯が生え始める様子をイメージしてみてください。
“cut”には「切り開く」という意味もあるので、歯が歯茎を切り開いてニョキニョキと伸びてきているイメージです。
赤ちゃんにとっては痛かったり、かゆかったり、泣いてしまったりすこともあるでしょう。
でも、大人へと成長するためには大事なステップです。
そこまでイメージを膨らませることができたら、cut someone’s teeth onに「経験を得る/積む」という意味があるのも合点がいきます。
例) Young actors cut his teeth on low-budget films.
(若手俳優たちは低予算の映画で経験を積んでいる)
【英語表現】torn-upの意味は?
「廃れた」
“tear up”を過去形にした表現です。
いくつも意味があるので毎回頭を悩ませる熟語ですが、“tear”単体の意味だと「引き裂く」「苦しめる」「涙」という意味があるので、なんとなくネガティブなイメージ。
単体としてのイメージをさらに”up”させるので、”tear up”は「ズタズタに引き裂く」「心をかき乱す」「壊す」といった意味です。
例) Look at her cool torn-up jeans!
(彼女のクールなダメージジーンズを見てよ!)
【教養】Grey Gooseとは?
「フランス産高級ウォッカ」
お酒をほぼ飲まないので初めて知りましたが、高級ウォッカの代名詞だそうです。
Amazonで値段を調べたら、700mlで4,000円くらいでした。
想像してた値段よりは安かったです。
場末のバーで「グレイグースで」なんて注文できたら、カッコいいですね。
【英語表現】trippinの意味は?
「ハイになる」
“tripping“の砕けた言い方です。”trip“は「旅行」という意味ですよね。
みなさんは「旅行」という言葉を聞いて、どんな感情を抱きますか?
多くの方が、「ウキウキやワクワク」といったポジティブな感情を抱かれるのではないかと思います。
“tripping“は、その形容詞なので「軽快な」「ハイになった」という意味です。
例) Are you trippin?
(イカれちゃったの?)
【英語表現】ball gownの意味は?
「イブニングドレス」
これは女性が夜のパーティなどで来ていくフォーマルなロングドレスを指します。
じつは、”ball“には「ボール」の意味以外にも、「ダンスパーティー」という意味もあります。
語源は、ラテン語の「踊る」を意味する”ballare“から来ています。
「ボール」のようにくるくる回って楽しむことから、「ダンスパーティー」という意味になったのも納得です。
例) I need a glamourous ballgown for the next party.
(次のパーティーに向けて華やかなイブニングドレスが必要だわ)
【英語表現】trashinの動詞の意味は?
「めちゃくちゃに壊す」
“trash”「ごみ」「くず」「がらくた」といった名詞の意味から、想像がつくでしょう。
動詞の意味は、他に「人を非難する」という意味もあります。
【教養】Cadillacsとは?
「キャデラック(アメリカの高級車ブランド)」
ゼネラルモーターズが展開している高級車のシリーズのことです。
一番テレビで見る機会が多いのが、アメリカ大統領専用車として使われているリムジン。
あの真っ黒で車体の長い、いかにも高級そうな車がキャデラックです。
【教養】Maybachとは?
「マイバッハ(ドイツの高級車ブランド)」
ドイツのエンジン製造会社マイバッハは、以前高級車を製造販売していたそうですが、残念ながら現在販売はされていません。
日本市場に出回っていた2010年の市場価格は約1億4,000万円。
【英単語】timepieceとは?watch,clockとの使い分け
「時計」
「時計」を英語で言うとき、真っ先に思い浮かぶのが”watch“(ウォッチ)や”clock“(クロック)ではないでしょうか。
timepieceにも「時計」を指す単語です。
それぞれは、どのように使い分けたらよいでしょうか?
使い分けをまとめました。
【英単語】leashの意味は?
「鎖」
日本人が犬を繋ぐ紐のことを「リード」と言っている”lead”は、じつはイギリス英語。
なのでアメリカではほぼ通じません。
アメリカ英語を使いたかったら”leash”「リーシュ」と言わないといけないので注意が必要です。
アメリカでは「放し飼い禁止令」のことを”leash law“と言います。
例) We need to leash my dog.
(犬をリードにつながなきゃ)
【英語表現】be caught up inの意味は?
「巻き込まれる、夢中になる」
“catch“は「捕まえる」という意味ですよね。
その”catch“がさらに”up“↑して、”in“↓するのだから、もう大変。
プールのジャンプ台をイメージしてみてください。
階段を登ってジャンプ台まで上がり(up)、高いところから一気にプールへ飛び込む(in)のです。
高いところから飛び込んだ分だけ、深く潜っていきます。イメージできましたか?
その状況にのめり込む、虜になる、捕らわれる、というイメージが持てたらOKです。
例) We were caught up in a heavy traffic congestion.
(ひどい交通渋滞に巻き込まれたよ)
【英語表現】love affairの意味は?
「夢中になること」
“love“(愛)な”affair“(事情)なので、「恋愛」や「浮気」「情事」という意味なら知っている方もいるでしょう。
そのドキドキするような意味から転じて、今回の歌詞のような「熱中」や「熱狂」といった意味もあります。
【英単語】buzzの意味は?
「楽しいこと、興奮」
「スリル」や「興奮」といった意味ですが、他の意味もあります。
それは「(ハチが羽をはばたかせる)ブンブンという音」です。
これは次に出てくる”queen bee“(女王蜂)との相性を考えての言葉選びです。
ロードはこういう言葉遊びが巧みですね。
【英語表現】crack the codeの意味は?
「問題を解決する」
“crack“は「解読する」という意味で、“crack the code”で「暗号を解読する」という意味。
「ヒビを入れる」「押し入る」といった意味もあるので、何かを突破するというイメージですね。
歌詞では、前後の流れから「暗号を解読する」よりも「問題を解決する」のほうが自然です。
王族の血も流れていないし裕福な家庭に生まれていないロードは、どうすることもできない難題(問題)をどう解読(解決)したのか?
それは「友だち」の存在。
「友だちと過ごすことで、贅沢な生活に執着せずに人生を楽しむ方法を見つけた」と解釈することができます。
【英語表現】fine with thisの意味は?
「これでいい」
「それで問題ない」「構わない」といった意味です。
例) I’m fine with heights.
(私は高所恐怖症ではない)
【英語表現】come from moneyの意味は?
「お金持ちの家の生まれ」
この意味とは別に、「(問題などが)お金から生じる」という意味もあります。
例) Her problems came from money.
(彼女が抱える問題はお金が問題です)
MV(ミュージックビデオ)について
この曲は、華やかで非現実的なMV・映画の世界がいかに現実とかけ離れているかを描いた作品です。
歌詞で綴られているように、ダイヤモンドやゴールドはメディアをとおして見る機会こそあるけれど、実生活で見ることはお金持ちでない限りほとんどありません。
そんな現実と非現実世界の対比を表現したこの作品のMVは、お金をたっぷり使った華やかな映像と、ゴールドもダイヤモンドも出てこない日常の映像、どちらを描いた映像になっていると思いますか?
高級なものを画面いっぱいに映して非現実的で華やかな様子を皮肉たっぷりに描いたほうが、画力がありそうですが、実際は違いました。
なんでもない10代の日常が描かれています。
10代の少年が友だちとリビングでボクシングしたり、自分で髪を刈ったり、バスの窓に頭を預けてぼーっとしたり…、ほかのMVなら取り上げないような、ごくごく普通のありふれた日常をあえてMVにしています。
2013年当時、歌詞の意味をろくに理解もせず何の気なしにMVを観た私は、面白みのないつまらない映像だと思っていました。
しかしロードの人となりや歌詞の意味を理解したうえでMVを見直すと、歌詞で表現したいことが映像として体現されていることに気づかされます。
また、MVの撮影現場はロードの故郷、ニュージーランド。
一度も行ったことのないニュージーランドの映像にどこか懐かしい気持ちが芽生え、そこへ訪れたい気持ちに駆られる魅力の詰まったMVです。
さいごに
ご存じの方も多いかもしれませんが、Lordeという名前は本名ではありません。
本名は、エラ・マリヤ・ラニ・イェリッチ=オコナー(Ella Marija Lani Yelich-O’Connor)。
芸名Lordeの由来は、王族や上流階級からきています。
しかし貴族を表す”Lord”の綴りのままだと男性的だと感じ、”e”を加えてLordeにしたそうです。
自分の芸名しかり”Royals”しかり、ロードは血統や王族に対する思い入れが人一倍強いのかもしれません。
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