結論から申し上げると、”15 minutes of fame”とは「つかの間の名声」という意味です。
直訳の「15分の名声(fame)」という意味から何となく想像できそうですが、直訳のまま訳すと違和感の残るむず痒い表現です。
それでは、この表現について深く取り上げていきます。
【英語力UP】15 minutes of fameの語源
なぜ”15 minutes of fame”が「つかの間の名声」という意味を持つようになったのでしょうか?
この言葉の語源は、アメリカの画家アンディー・ウォーホルの1968年の展示会カタログに次のように書かれてあったのが由来です。
“In the future everyone will be world-famous for 15 minutes.”
Andy Warhol
(将来、誰もが15分間なら世界的に有名になれるだろう)
SNSでバズって少しの間だけ注目を浴びる今の現代を表しているかのような予言的な言葉が、なんと1968年に生まれています。
この英語フレーズは、英語好きの方にも洋楽好きの方にも絶対に覚えておきたい表現です。
なぜなら、さまざまなアーティストがこの表現をもじっているからです。
たとえば、イギリスの画家バンクシーのある作品の中に、こんな言葉が添えられています。
“In the future, everyone will be anonymous for 15 minutes,”
Banksy
(将来、誰もが15分間なら匿名になれるだろう)
元の表現同様、バンクシーの表現もSNS時代に生きる私たちを表しているような言葉です。
このほかにも、デヴィッド・ボウイを中心に結成されたバンド、ティン・マシーンの曲「I can’t read」や、マリリン・マンソンの曲「I Don’t Like the Drugs (But the Drugs Like Me)」の歌詞の中にもこの表現をもじった詞が登場します。
【まとめて覚えたい】15 minutes of fameの類義語3選
15 minutes of fameと似たような表現を3つご紹介します。
- flash in the pan 「一時的な成功(者)」
語源には諸説ありますが、火花で点火する火打ち石銃が火皿(pan)の中で発火(flash)はしても空発に終わってしまうことから、このような意味になったと言われています。 - one hit wonder 「1曲だけのヒットで消え去る歌手」「一発屋」
- nine days’ wonder 「一時的に注目を集めるが、すぐに忘れ去られること(人)」
【実用例】マネスキン(Måneskin)の新作AL『Rush!』の記事より
実用例を英ガーディアン紙の見出しより抜粋してご紹介します。
Måneskin: Rush! review
The Guardian
– Eurovision winners extend their improbable 15 minutes of fame
拙訳「マネスキン: Rush!レビュー – ユーロビジョンの優勝者、とんだつかの間の名声を延長」
- Eurovision winnersとは、ヨーロッパ最大の音楽祭、ユーロヴィジョン・ソング・コンテストで2021年にマネスキンが優勝したことを指しています。
- improbableとは[im(ない)+probalbe(起こりそう)]で「まさかの、思いも寄らない」という意味
イタリアから始まり、いまや世界に名の知れたロックバンドへと上りつめたマネスキン。
そんな彼らに対して、なぜ15 minutes of fameという言葉が添えられているのでしょう?
マネスキンは、1967年にフォー・シーズンズ(The Four Seasons)がリリースした曲「Beggin’」を2017年にカバーして、注目を浴びるきっかけをつかみました。
しかし音楽業界では、カバー曲のインパクトが強烈で人気化すればするほど、その後のハードルが上がってしまい、オリジナル曲はほぼ評価されずに一発屋で終わってしまうことがよく起こります。
「カバー曲が代表曲」と言われるようなアーティストは、一定数いるのです。
そんな音楽業界のあるある事情を踏まえて、あえて15 minutes of fameということ言葉を選んだのではないかと思います。
そして同紙の表現からは「マネスキンは一発屋ではない」といったニュアンスがくみ取れます。
カバー曲のハードルをゆうに飛び越える作品を今回の新作アルバム『Rush!(ラッシュ!)』で証明してみせたのです。
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