英語のスペシャリストに愛され続け、英文法書の最高峰と言われる江川泰一朗著の『英文法解説』。
この記事では、具体的にどういう対象者に向けた本なのか、どういう点がすぐれているのか、など詳しくご紹介したいと思います。
【対象者とレベル】〇〇向け?〇〇には不向き?
タイトルに掲げてあるとおり、専門性の高い情報まで網羅している『英文法解説』は上級者向けの参考書と言えます。
では、具体的にどんな人をターゲットにした本なのか、以下にまとめてみました。
- 英語を使用した仕事をしたい人/している人
- ビジネスにおいて、とくにReadingとWritingを使用する機会が多い人
- 英文法マニアの人
- 英語圏の大学に進学を考えている人
- 塾の英語講師や英語教師を目指している人
- 英語系の大学院生
- 翻訳者を目指している人
→英日翻訳者志望の方は、特にオススメです!
総括すると、英語のプロとして成熟したい人には、ぜひ手元に置いておきたい一冊です。
逆に、この本をあまりオススメできない人はどんな人かについても、以下にまとめてみました。
- 基礎から文法を学び直したい人
≪理由≫ 基本的な文法については、学校の教科書の方が丁寧に解説しているため。 - 大学受験用の参考書として購入を検討している人
≪理由≫ 高校生では習わない専門的な内容も含まれるため、受験に特化した参考書を購入したほうが勉強効率がいいため。
基礎を学びたい人や試験・受験用の参考書として検討している人は、それぞれの目的に特化した参考書をオススメします。
【差別化】他より優れている〇〇な点
では、具体的に『英文法解説』が他の参考書と何が違うのか、深掘りします。
他よりも優位性がある点はいくつかありますが、2つの点に絞ってご紹介します。
【1】和訳が滑らかで自然
この本を持っている人の多くが口をそろえて言うこと。
それが、訳文の巧さです。
前項で、「翻訳者志望の方に特にオススメ」と伝えたのも、そのためです。
一般的な文法書は、文法を教えることに力を入れているものの、日本語の訳文においては不自然でぎこちないものが多い印象です。
しかし、この書籍は全体的に滑らかで自然な訳文が並んでおり、翻訳者や和訳する機会の多い人には参考にしたくなる例文ぞろいです。
とくに、≪名詞構文≫の項では、「名詞構文の訳し方」という項目を付けて、読みやすい日本語に訳すための技法を紹介しています。
一般的に、英語は名詞中心の言語、日本語は動詞中心の言語、と呼ばれています。
日本語には存在しない≪名詞構文≫などの訳しにくい英文を、いかに自然で読みやすい日本語に訳すか悩んでいる人にはオススメの良書です。
【2】信頼のおける引用元
この本の優れているところは、参考書として引用しているものすべてが、英語で書かれた文法書・語法辞典および一般辞書であるということに尽きます。
つまり、ネイティブの人たちが書いた書籍や辞書を参照して書かれてあるので、間違いがないということです。
インターネット上には、個人または企業が無料で英語の文法を解説しているサイトが無数にあります。
しかし、それが本当に正しい情報なのかどうか怪しいサイトも数多くあります。
出典の記載や裏取りをすることなしに、個人の知識レベルで書いている記事も多数あります。
その点、『英文法解説』は信頼性の高い参考書です。
なぜなら、ロングマン辞典やオックスフォード辞典など、由緒ある文献の情報を真正面から受け止めて吸収し、纏め上げているからです。
そして、この本が発行されてからは、有名大学の名誉教授たちが、自身の著書の中で『英文法解説』をたびたび引用しているのです。
それくらい日本の英語教育においては、なくてはならない唯一無二の参考書です。
【気になる点?】古さの是非
ここまで『英文法解説』を褒めちぎってきましたが、逆に、気になる点はあるのでしょうか?
レビューサイトで、たまに見かけるネガティブなキーワードといえば、“古さ”です。
初版は1953年(昭和28年)に発行。
その後、改訂されて、いま現在売られている【改訂三版】は1991年(平成3年)に発行されたものです。
初版から70年経ちますが、文章や内容に古さを感じるかと言えば、全くそんなことはありません。
じつは、レビューサイトで書かれている“古さ”というキーワードの後には、続きがあり、その多くが“内容の古さを感じさせない”と書かれています。
文法書は、ただ発行年が新しいものを買えば良いというものではありません。
むしろ、半世紀以上経ったいまでも、英語のスペシャリストたちに長く愛され続ける『英文法解説』は、質と価値の衰えを知らないバケモノ的な存在です。
さいごに
自分の英語力で食べていく。
そう覚悟を決めたら、まず手に取ってもらいたい一冊です。
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